吉永小百合が怖かった。
映画の「ガラスの中の少女」をご存じだろうか。
私は今回、アマゾンプライムで偶然見つけて鑑賞したのが、初めてだった。
私は吉永小百合のファンではないが、この女優が出演した映画を数多く観てきた。
この映画「ガラスの中の少女」には、今まで見たこともない吉永小百合がいた。
気の強い少女を演じるのが吉永小百合は得意だが、気が強いのではなく、生命体としての少女の野生を感じたのだ。
野生の少女は、傷つきやすく内向的だが、瞳がキラキラ輝いている、その瞳の輝きは、命の純度の高さを示している。
そんな野生の少女が怖かった。
ネタバレになって申し訳ないが、その野生の少女は自ら死を選んだ。しかも、心中という形で……。
「ガラスの中の少女」は、1960年の日活映画。監督は若杉光夫。吉永小百合の初主演映画で、浜田光夫とのコンビの最初の作。
初主演だから、吉永小百合から野生が消えていなかったのかもしれない。
ふと、エリザベス・テイラーの初期映画「陽の当たる場所」を想い出した。
当時のエリザベス・テイラーは19歳だが、その透明感と美しさは息をのむほどだった。
「ガラスの中の少女」を演じた吉永小百合は、当時15歳で、その幼さが野生を発露させたことは、特筆に値する。
「陽の当たる場所」は1951年の作品だが、そういうことは、今回はどうでもいい。
吉永小百合にあって、エリザベス・テイラーになかったのは、少女という生命体が発した野生である。