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美しい言葉

「微笑み」という美しい日本語には、人を慈しむ「祈り」に似た気持ちが込められている。

このブログ「美しい言葉」では、美しい日本語をたくさん紹介してまいりました。

年頭ですので、私自身が大切にしてゆきたいこと、今年の指針となるキーワードともなる、美しい日本語をあげてみたいと思います。

今年最初にご紹介する美しい日本語、それは「微笑み」です。

私の好きな言葉に「和顔愛語(わげんあいご)」があります。人には笑顔で接し、優しい言葉を温かい口調で語ることを「和顔愛語」と呼ぶのです。

それに近い言葉であり、もっと日常でよく使われるのが「微笑み」でしょう。「微笑(びしょう)」を浮かべたとも、口にしますよね。

⇒「ほほえみ」という言葉に関する記事はこちらへ

しかし、世知辛い時代になればなるほど、この「微笑み」という言葉も、使われにくくなってゆくような気がしてなりません。

以前、ここで取り上げたことがある「涼しげなまなざし」という美しい表現は、死語になりつつありますが、「微笑み」も衰微してゆく日本語の一つかもしれません。

その人の笑顔を見れば、その人のすべてがわかる」という意味の言葉を、ドストエフスキーが残しています。

それくらい、笑顔は雄弁にその人の人間性をあらわすのです。

その意味で「微笑み」という言葉は、精神的なニュアンスを含んでいる、極めてデリケートな日本語だと感じています。

「微笑み」という言葉から、あなたは何を想い浮かべますか。

私が「微笑み」から想起するイメージは、写真の中の家族たちの笑顔です。母、父、兄、姉……。

血を分けた肉親たち、それも現実ではなく、写真の中の「微笑み」が、なぜか、まっ先に浮かびました。

次に想い出されるのは、円空仏でり、ダヴィンチの名画「モナリザの微笑み」であり、デスピオの石彫「子どもの顔」であります。

デスピオの石彫を知らない方が多いと思いますので、載せておきますね。

こちらの本の171ページに、上の写真は掲載されています⇒近代世界美術全集〈第10巻〉近代彫刻 (1965年) (現代教養文庫)

昭和40年初版という極めて古い本であり、絶版ですので、1人でも多くの人にこの傑作を知っていただきたいので、あえて写真を載せることにしました。ちなみに、この本を出版していた社会思想社は、現在は存在しません。

話を元に戻しましょう。

私はここで何を言いたいのでしょうか。

「微笑み」は現実の物象ではなく、精神的な存在であるということです。「微笑み」という言葉には、人間の「祈りの気持ち」が込められている、と私は思っています。

日常で、私は笑顔を心がけています。しかし、「美しい微笑み」を浮かべることは難しい。頬が引きつり加減になったり、哀し気な笑みになってしまちがちです。

いつも、ごく自然に、微笑みが浮かぶ暮らしが理想です。でも、それはあくまで理想であって、人の世は、辛いことも多く、哀しいこと、怒りたいことが多すぎます。

それでも、人を慈しみ、山川草木も慈しみ、生きとし生けるものすべてを愛して生きて行きたいという「祈り」が、人の「微笑み」には込められている気がしてならないのです。

人を愛しいと感じる、山川草木、目に映るすべてものを慈しみたいと願う、そういう極めて人間的な心のあり様が「微笑み」という言葉には凝縮されているのではないでしょうか。

どうか、今年一年、このブログを読んでくださる方々にも、自然に微笑みが浮かぶ和みの時が多く訪れますように、と祈りつつ、今年最初の記事を脱稿いたします。

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