マニュアル化された人間、マニュアル化された店舗、マニュアル化された会社……それらを、あなたは魅力的だと思いますか?

 

私が知るかぎりにおいて、最も確立されたマニュアルは「ハリウッド脚本術」です。

 

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101

 

「ハリウッド脚本術」とは、要するに、映画のシナリオの書き方のことですが、面白い映画はこのような法則にのっとって作れば出来上がるということを示しています。

 

「ハリウッド脚本術」の代表的なノウハウが「3幕形式」です。この「3幕形式」を、私自身は、あるミステリー作家のセミナーで学びました。

 

映画作品の構成などを詳細に分析して、どうして面白くできあがっているのかを、徹底的に盗もうというの講座でした。

 

その分析した映画は「ザ・ロック」。

 

3幕というと難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、こういうことです。

 

■物語の発端部で、主人公がある事件に巻き込まれ、葛藤しながらも、ある目的を持ちます。ここまでが、第1幕。

 

■主人公は目的達成のために行動を起こし始めます。しかし、次々の困難や敵があらわれ、悪戦苦闘の連続。ここまで、第2幕。

 

■絶体絶命かと思われた危機を脱出した主人公は、最後の敵に立ち向かいます。壮絶な戦いの末に、ついに目的を達成。そして、静かなエンディングに。ここまでが、第3幕。

 

いかがでしょうか? 講義を受けている時、その作家先生の分析の鋭さに舌を巻きました。

 

しかしながら、ここで素朴な疑問が浮かび上がります。それは、「3幕形式」を学べば、誰もが、面白い脚本を書けるようになるのか?ということ。

 

そのミステリー作家がさすがだなぁと思ったのは、実は、その講義の最後の言葉です。

 

ハリウッドにおけるシナリオライター養成スクールでは「法則を徹底的に学べ。そして、最後にそれを、ぶちこわせ!」と教えるんだそうです。

 

つまり、ノウハウとかスタイルとか規律とか法則とかは、それを学ぶだけでは不充分であり、それを破壊する、あるいは超越するパワーが、創造的な作品を生み出すことを、忘れてはならないでしょう。

 

私は現在、インターネットビジネスのコンサルティングを行っておりますが、例えば、ブログという自分メディアを使って行うビジネスにおいて、同じことが言えるのですね。

 

表現というものは、自由に始まり自由で終わるべきだと思っています。しかし、真の自由は制約の中でこそ生きるとも言われます。

 

その意味で、法則を学ぶことは無意味などころか、たいへん有意義なのです。でも、ただなぞるだけとか、穴埋め式でできてしまう傑作はありません。ガチガチにノウハウを学ぶことも大切。

 

しかし、もっと大切なのは、法則を超えた、自由で生き生きとした「自分らしい」スタイルをかち得ることなのです。