アマゾンプライムで偶然に見つけたのが、今回ご紹介する映画「人生の動かし方」です。
何の予備知識もありません。
どんな映画でもそうですが、当たり外れが激しいのが最近のハリウッド映画です。
面白くなければ、最初の10分で挫折してしまうかもしれません。
などと不安を抱きながら見始めたのですが……
2017年に公開された「人生の動かし方」の監督はニール・バーガー、主演はブライアン・クランストンとケヴィン・ハート。
現代は「The Upside」。「逆さま」という意味。
人種も、経歴も、経済力も、性格も、肉体も、まったく似ても似つかない「逆さま」の2人に生まれた、奇妙な友情を軽妙に描いています。
アメリカ映画らしい、無駄のない構成、スピーディーな展開が、ともすれば暗くなりがちな物語設定を、明るく心地よいものにしてくれていました。
「人生の動かし方」は、2011年に公開されたフランス映画「最強のふたり」のリメイク作品であることすら、私は知りませんでした。
実は恥ずかしいのですが、「最強のふたり」もまだ見ていないのです。
「人生の動かし方」を見てよかったと、素直に感じました。
ブライアン・クランストンの繊細な演技力には脱帽。表情も微妙なニュアンスに富み、最近見た中で最も表現力の豊かさを感じた芝居でした。
多くのシーンがブライアン・クランストンの顔の表情から始まるのも特徴。だから、やはり、この映画は、ブライアン・クランストンを中心としては心理劇なのだと思います。
ニコール・キッドマンも良い女優さんですね。真面目で不器用な女性を、さり気なく演じ切っていました。
普通にそういう性格の女性が目の前にいる、と感じられるほど、ニコール・キッドマンの演技は自然だったのです。
映画のストーリーは、完璧でした。できすぎているくらいの出来ばえです。
私が見たのは吹き替え版ですが、字幕版でも見てみたいと思いました。
そうそう、「最強のふたり」も見ないといけないですね。
(追記)「最強のふたり」と「人生の動かし方」の比較
「最強のふたり」を鑑賞しました。元祖である「最強のふたり」の方が圧倒的に優れているという感じはしませんでした。
フランス人の心理、感覚とか、微妙なニュアンスにこだわる人は、たぶん「最強のふたり」の方を支持するでしょうね。
でも、私には「人生の動かし方」の無駄のない構成、テンポの良さ、役者たちのメリハリのある演技の方が好みに合いました。
後に見る作品は、どうしても比較しながら見てしまうので、順番としては「最強のふたり」の方を先に見たほうがいいかもしれません。
「最強のふたり」はフランス映画ということもあり、行間を読ませる演出があります。展開を遅らせ、視聴者に深く作品に参入することを意図的に強いるのです。
その演出は、ハリウッド映画の合理的なカット割りに慣れ親しんだ人には、まどろっこしい、リズムが狂う、という軽いストレスを覚えてしまうでしょう。
でも、「最強のふたり」は明らかに秀作であり、作品への敬愛があれば、スイッチを切り替えて、じっくりと映画を味わうことに苦痛は感じないはず。
私としては、また機会を改めて、「最強のふたり」を鑑賞したいと思っています。