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映画「黒い画集 あるサラリーマンの証言」

松本清張の小説を原作とした映画は、ほぼはずれなしに面白いのですが、今回鑑賞した「黒い画集 あるサラリーマンの証言」はその中でも特に秀逸な映画作品です。

見終わった時、満足してしまい、松本清張原作の映画については、感想を書く気になれません。

ただ、今回見直した「黒い画集 あるサラリーマンの証言」は、1回目に見た時、誤った見方をしてしまっていたことに気づいたのです。

そのため、こうして感想を書き始めました。

「黒い画集 あるサラリーマンの証言」は、松本清張の小説を原作とした、堀川弘通監督の傑作映画。

映画「黒い画集 あるサラリーマンの証言」は、松本清張の小説「証言」が原作。小説「証言」は「週刊朝日」1958年12月21日号から12月28日号まで、「黒い画集」第2話として掲載されました。

映画「黒い画集 あるサラリーマンの証言」は、1960年に東宝にて映画化。同年、東宝系で公開されました。

監督は黒澤明の愛弟子としても知られる堀川弘通。堀川弘通は、松本清張の小説を原作として映画としては、「告訴せず」を監督しました。

映画「黒い画集 あるサラリーマンの証言」は、1960年「キネマ旬報」ベストテン第2位。松本清張が賞賛した作品の一つだと言われています。

この「黒い画集 あるサラリーマンの証言」は、松本清張が絶賛したのもうなずける、見事な出来ばえです。

特に、主人公の中年サラリーマンを演じた、小林桂樹の抑制された演技が素晴らしい。

不倫相手を演じた原知佐子も好演。大した美人ではりませんが、少し下品な色気があり、独特の嫌らしさを醸し出していました。

ところで、この映画を見るのは2回目ですが、1度目に見た時、どうしたわけは間違った見方をしていたことに今回、気づいたのです。

そのことについて、以下で述べたいと思います。

人間信頼や希望をテーマにしたら、松本清張の世界にはならない。

最初に「黒い画集 あるサラリーマンの証言」を見た時、苦しんだ末に、良心の呵責に耐えかねて、主人公の小林桂樹は自首主したと思いい込んでしまいました。

ラストの方で集中力が弱っていたのかもしれません。

この判断ミスにより、実はこの映画の評価をさらに上げてしまったのです。

松本清張原作映画としては珍しく、人間の善意を信じたストーリーになっていて、いつも世の非常さ、残酷な結末を描く清張らしくないと思い込んでしまいました。

ところが、今回見直してみて、実は松本清張は、人間への信頼ではなく、弱さ、愚かさを、やはり残酷に描き切っていたのでした。

小林桂樹は、金を渡しに行ったことで警察に捕まったのであって、良心から自首したのではなかったのです。

う~ん、典型的な清張節ですね。

松本清張の世界には、ありきたりなヒューマニズムは似合いません。

人間の悪を容赦なく描きだし、特に悪女にとことん貶められる男の馬鹿さ加減をバッサリ切って見せるのが、清張節の真骨頂なのです。

結局は、そのことを再確認されられたのでした。見終わってみればお決まりのパターンですが、完成後が極めて高く、十二分に満足できる映画作品となっています。

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