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「水の八徳(はっとく)」という言葉をご存知でしょうか。
「八徳」を大辞林で調べますと、以下のように出てきます。
八徳(はっとく)
八種の徳。仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つ。
では「水の八徳」はといいますと、次のようになります。
水の八徳
一に清浄
二に清冷
三に甘美
四に軽軟
五に潤沢
六に安和
七に除悪
八に増益
実は、この「水の八徳」という言葉の出典がよくわかりません。私の愛読書である「吉川英治氏におそわったこと」に出てくる言葉なのです。
仏教の言葉である「八功徳水(はちくどくすい)」から来ているのでしょう。大辞林には以下のように記されています。
八功徳水(はちくどくすい)
〔仏〕〔「はっくどくすい」とも〕浄土や須弥山の七内海中の水。〔八功徳は、良い水の一般的特質を八つにまとめたもの〕
また、世界宗教用語辞典によれば、以下のような解説があります。
はっくどくすい 【八功徳水】
仏教でいう八つの優れた特質を持つ水で、極楽の池や須弥山の周りの七内海に満たされているとする。1甘(甘い)、2冷(冷たい)、3(やわらかい)、4軽(軽い)、5清浄(清い)、6無臭(くさくない)、7飲時不損喉(のどを痛めない)、8飲已不傷腹(飲み已って腹を痛めない)などの八つだが、別説もある。
まあ、この言葉にある深い意味はともかくとして、私が驚いたのは、水というものを、実に豊かに表現していることです。水に関する説明なり、解説なりで、これほど味のある表現は読んだことがありません。
と同時に、日本語の豊かさに、おもわず、ため息がもれそうになってしまいました。
「酒の七徳」という言葉もありますよ。こちらも、実に豊かです。