前回は「水の八徳」について、お伝えしました。今回は「酒の七徳」ですよ。さらに、日本語の豊かさに酔いしれてしまうことでしょう。

 

吉川英治氏におそわったこと」には「酒の八徳」について、以下のように書かれています。

 

盃にそそがれた時のイロミ

 

盃を手にとった時のオモミ

 

唇に近づけた時のカオリ

 

口に入れた時のヌクミ

 

口いっぱいひろがるフクミ

 

のどを通る時のゴクリ

 

身体全体につたわって行くホロリ……

 

実に、ニュアンスが微妙で、豊富ですよね。しかし、これですと七徳しかありませんが、著者の扇谷正三さんは書き忘れたんですかね?

 

以上の理由から、このページでは「酒の七徳」としました。

 

様々な情報が飛び交う現代ですが、中身は貧困なものが多いように感じます。情報はあふれかえっているのに、コンテンツは貧弱になってゆく時代は不幸だと言えそうです。

 

それと比べると、扇谷正三さんが紹介してくれた「水の八徳」と「水の七徳」は、素晴らしい。

 

日本語ってこれほど豊かだったのか、また人ってこれほどまでに人生を豊かに味わって生きていたのか、そのことに驚かされます。

 

心が渇いた時には、せめて「水の八徳」「酒の八徳」を思い返し、日本語の豊かさを噛みしめ、豊かな明日について、考えてみたいと思うのであります。

 

実は「酒の八徳」という特定の古い言い伝えや文献は存在せず、一般的には酒の効用を説いた「酒の十徳(または飲酒十徳)」として広く知られています。

 

室町時代や江戸時代の文献に記されており、百薬の長から旅の供まで、多様な効能が挙げられています。

 

「酒の十徳」とは、室町時代の狂言『餅酒(もちさけ)』や江戸時代の文献に記されている、お酒が持つ10の効能やメリットです。
適量のお酒は百薬の長として心身を和らげ、人間関係を円滑にすると伝えられています。
日本の古典で広く知られている代表的な十徳(江戸時代の随筆『百家説林』などより)は以下の通りです。
  • 礼を正し:礼儀や作法をわきまえさせる
  • 労をいとい:疲労をねぎらう
  • 憂をわすれ:悲しみや悩みを忘れさせる
  • 鬱をひらき:気分を明るく晴れやかにする
  • 気をめぐらし:血行を良くし体を温める
  • 病をさけ:さまざまな病気を遠ざける
  • 毒を消し:薬膳酒のように毒を解する
  • 人と親しみ:対人関係を円滑にし、仲良くなる
  • 縁を結い:人と人との新しい繋がりを作る
  • 人寿を延ぶ:健康をもたらし寿命を延ばす

 

また、狂言『餅酒』に登場する少し日常的な十徳では、「独居の友となる(孤独を慰める)」「万人と楽しむ(和合する)」「寒さに衣(寒さをしのぐ)」なども挙げられています。