ピッコロ~風花未来の中期詩篇7

今回は風花未来の「ピッコロ」というをご紹介。

 

ピッコロ

 

いちばん高い音を出す

いちばん小さな楽器

ピッコロ

 

だから お前は

いちばん速く

あの遠い

いちばん初めに

帰ってゆける

 

縦糸だけの

細く短い一生だ

 

ピッコロ ピッコロと鳴きながら

神様を呼ぶ

でも 実は

神様に呼ばれているとも知らずに

 

初めの世界は

純白の微光

小鳥と妖精しか棲めない国

 

ピッコロ ピッコロと歌いながら

小さな翼で小宇宙をぬらす

ピッコロ ピッコロと自分の名を

幾度もくりかえし

やがて 最初のところへと

吸われるように消えてゆく

 

風花未来のすべての詩が、こちらで読めます

一本の線~風花未来の中期詩篇6

今回は風花未来一本の線」をご紹介。

 

一本の線

 

一つひとつの点をつなぎ合わせて

一本の線にしてゆく

 

鋭い刃物で切られて

どうしてもつながらない線がある

つながらなければ

生きだせない線がある

抜け殻のようになり

渇ききった石を踏みながら

ひたすら水になりたいとだけ願っている

 

どうしてもつながらない線がある

一年のうちで一番寒い日に

一日だけ咲く

白い小さな花があるのかもしれない

 

一つひとつの点をつなぎ合わせて

一本の線にしてゆく

 

どうしてもつながらなかった線が

今ようやく

つながった

余命3ヶ月~風花未来の詩17

先日、主治医から「余命3ヶ月」の宣告を受けた。

 

今の想いを正直に、詩にしてみたい。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

余命3ヶ月

 

主治医はCT画像を見ながら

「わからない」とつぶやいた

 

肝臓全体に癌が広がっていて

もう手術はできないという

 

一年前に大腸癌の手術をしたが

肝臓の癌が大腸から来たのか

判断がつきにくいらしい

 

それにしても

肝臓に癌が広がる速度が

あまりにも速いのだ

たった一年で

肝臓は完全に癌に支配されてしまった

 

それを今まで

誰も気づかなかったのだ

 

どうしてこんなにも速く

癌が広がってしまったのか

どこから来て

どこへ行こうというのか

それを主治医は

「わからない」とつぶやく

 

何かが先を急いでいる

急ぎすぎている

 

若い頃に

お前は「生き急いでいる」と

言われたことがあるが

今は何かが

「死に急いでいる」のか

 

「あとどれくらい生きられますか」

という私の月並みな問いに

「3ヶ月くらいでしょう」

と即座に主治医は答えた

 

私は死に急いではいない

また、生き急いでもいない

やりたいこと

やれること

やるべきことは

すでに決まっている

それをただやるだけ

 

成功という名の向こう岸には

たどりつけないとしても

 

愚直に

ただただ愚直に

一歩でも前に進みたい

 

でも

他人様に威張れるほど

勇ましくはない

死はまだときどき怖いし

痛いのは苦しいのは嫌だし

できれば避けたい

 

そんな頼りない自分だけど

生きてみようと思う

涼し気な表情で

時には笑みを浮かべ

ありがとうの気持ちを忘れず

今日を

今この時を

生きてみようと思う

 

「奇跡」だって

起きるかもしれない

 

ああ

朝陽がさしきた

まぶしい真っ白な輝きだ

さあ

生きてみよう

 

私なりに「なぜ、癌が急激に増殖したのか」について、以下の詩作品中で結論を出しましたので、よろしければ、ご確認ください。

 

私が癌になった理由~風花未来の詩26