今回のテーマは「読書の質と量」です。

 

百科事典を50回読んだという話

 

小説「宮本武蔵」「新・平家物語」などで有名な作家の吉川英治は、百科事典を50回読んだそうです。

 

しかも、作家になってからではなく、二十歳前後で東京に出てきて、印刷工場につとめていた頃の話だというから、驚かずにはおられません。

 

こういう話を聞きますと、誰もが「まさか、そんなこと、本当なの?」と首をかしげることでしょう。

 

しかし、どうやら、本当の話らしい。

 

こんなエピソードが残っています。

 

吉川英治、石川達三、大岡昇平、石坂洋二郎、扇谷正造などが、ある料亭で食事をしていました。

 

メニューに「強魚」と書かれていたのですが、誰も、読めないし、どんな魚かも知らない。

 

ところが、吉川英治氏だけが、笑って、答えたという。以下、引用は「吉川英治氏におそわったこと」より。

 

これはシイザカナとよむ。もうお料理はひと通りまでした。しかし、おなかが何でしたら、もう一皿、お酒のオツマミにいかがですかと強いる。ですから、おなかにたまらないものがでる。たぶん、ムシガレイでしょうよ

 

本当に、ムシガレイが出てきたそうです。

 

その場に居合わせた扇谷正造は「吉川さんは百科事典を五十回よんだというのは、ほんとうだな」と感じたと言っています。

 

圧倒的な量を読む

 

文章力を養うには、読書が必要であることは、風花未来のメルマガでも何度も述べています。

 

2011年の「こだま」では、作品を選んで、暗唱していただきました。

 

愛する一つ作品を、何度も読み、暗記してしまうのは、読書の「質」の追求です。

 

その一方で、大切なのが、圧倒的な量を読むことです。

 

なかなか、百科事典を1回どおり読むのもたいへんですが、量を読むことは、文章力の下支え(ベース)になることは、間違いありません。

 

私の場合は、ある程度は「質」の追求はしてきました。 しかし、体が弱いせいもあり、それほどの量は読んでいません。これまでに読んだ本は、軽トラック2台分程度にしか過ぎません。

 

これから、読書をガンガンするぞ、と意気込んでいる人は、ぜひとも、読者の「質」と「量」の両方を、追求してみてください。