ぞっとしない」という言葉をどのように使っていますか? 「ぞっとしない」も、実に間違えやすい日本語の一つなのです。

 

「ぞっとしない」は慣用句で「おもしろくない、うれしくない、あまり感心しない、いい気持がしない」などの意味で使うのが正しい。

 

「ぞっとしない」は、例えば以下のように使います。

 

 

婚活パーティーに出席したけれど、ぞっとしない人たちばかりなので、途中で退席して帰ってきてしまった。

 

 

ところが「ぞっとしない」を「寒さや恐ろしさのために、全身の毛が逆立つように感じる」という意味の言葉「ぞっとする」の否定形なので、「怖くない」という意味に解釈したら、話が通じなくなってしまいます。

 

例えば「今日来た客たちは、ぞっとしないね」という職場の同僚の意見に対して「確かに、お化けのような顔の人はいなかったし、危ない人もいなかったね」と応えたら、トンチンカンな会話になってしまるのです。

 

また「この小説の展開は、ぞっとしないね」と先輩に言われた時、「ホラーではないから、恐くはないですよ」と応えたら、「ぞっとしない」の意味を取り違えているので、会話が成立しません。

 

さらには「ぞっとしない」を「安心できる」という意味にとるという間違いを起こす人もいます。

 

「次の旅行の企画は、どうも、ぞっとしないね」と上司に言われた時、部下が「ハイ、安心できるルートを選びましたのでだいじょうぶです」と応えたら、上司はきっと怪訝そうな表情をするでしょう。

 

上司は提出された企画をつまらないと言っているわけですから「今度こそは、面白い企画を出しますので、あと少しだけ時間をください」と応えるべきなのです。