正午の太陽~風花未来の詩28

今回の風花未来の詩は「正午の太陽」。

 

「正午」は「しょうご」と読んでください。

 

「正午(まひる)なり」という映画を知っている人ならば「まひる」と読まれるかもしれませんね。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

正午の太陽

 

午後0時 あるいは 午前12時

この時刻に

太陽は子午線を通過する

 

この時刻に太陽を

生まれて初めて

真っ直ぐ見つめた

正午の太陽の光を

全身で浴び

その場に立ち尽くした

 

私の真正面に君臨する

真冬の正午の太陽は

巨大で

激しく

何かに満ちみちていた

 

正午の太陽は特別だ

苛烈な視線を感じて

正午の太陽を正視した者は

そのまま大地に釘づけにされる

 

正午の太陽は怒っていた

有史以来

人類はこの地上で

ロクなことをしてこなかった

その愚行の一部始終を

カッと眼を見開いて

目撃しつづけてきた太陽は

怒っているが

身動きもせず

真正面から見つめていると

怒りは太陽という

巨大な光源にとって

わずかな感情にすぎないと

わかってくる

 

正午の太陽は

私たち人類にとって

計量できない巨大な愛という光を

地上に惜しげもなく

降らし続けているのだ

 

太陽の愛は激しすぎるから

ちっぽけな私たち人類は

そのまぶしさに耐えられなくて

顔をそむけ

闇に潜入し

罪を犯しつづけ

お互いを傷つけ合い

戦争を終わらせることも

今もなおできないでいる

 

正午の太陽

 

何もかも

私たち人類の尺度をこえて

大きく円く

何もかもを包みこむ

太陽という唯一無二の存在

 

あの日 あの時

私が見つめていた太陽は

人生の子午線で静止したまま

じっと動かないで

私を見つめ続けている

陽だまり~風花未来の詩27

今日の風花未来は「陽だまり」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

陽だまり

 

まぶしい陽ざしを

正面から受けていると

少し汗ばむほど温かな

風のない昼下がり

 

私が書く言葉が

真冬とは思えない

温かな陽光が生み出す

陽だまりのような詩になったら

どんなに嬉しいだろう

 

雨あがりの水たまりも良い

雨上がりの真っ蒼な空を

鮮やかに映す水たまりのような

詩も素晴らしいだろう

 

でも 今は

陽だまりをつくりたい

そんな思いが小さな火になって

胸の芯で燃えている

 

書いた言葉のつらなりが

陽だまりになる

温かな詩が書いてみたい

 

あの輝きにもっと近く

そんな思いをこめて

大きな太陽にむかって

両手を思いきり広げ

胸をはって深く息を吸い込む

 

陽ざしの温もりが

全身を血液のようにめぐってゆく

 

まぶしい陽ざしを

このままずっと

浴びつづけていたい

 

この陽光という

計りしれない恵みは

やがて この地上のいたるところに

そして 私たちの心の中にも

尊い陽だまりを

生み出してくれるだろう

私が癌になった理由~風花未来の詩26

今回の風花未来は「私が癌になった理由」。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

私が癌になった理由

 

私が余命3ヶ月の宣告を受けてから

もうすぐ1ヶ月が経とうとしている

 

私の中の肝臓癌が

もう手術もできない状態で

新発見されたとき

医師は「わからない」と言い

私自身は「ありえない」と思い

姉は「間違いだろう」と途方に暮れた

 

なぜなら1年くらい前に

大腸癌の手術をしていて

この1年間

レンガを一つひとつ

積み上げるように

健康には気を配ってきた

 

それなのに

転移も増殖速度も

はや過ぎる

 

しかし、数日前

反戦を訴えるクリスマスソングを

聴きながら

なぜ私が癌になり

余命3ヶ月の宣告を受けたのか

その理由をはっきりと悟った

 

私の愛が足りないから

自分の愛し方がつたないから

 

私はこの5年間

社会問題について

発言をつづけてきた

社会問題という外なる世界を

自分自身という内なる世界を

つなげて語るのが私の特徴だ

 

この方法に間違いはなかったが

大事なことに気づけなかった

 

癌は「怒り」と「哀しみ」によって

増殖して生命体をむしばむ

 

社会問題と向き合う時に湧いてくる

「怒り」と「哀しみ」を

政治にぶつけると同時に

自分自身にも向けて

私は自分の意見を述べてきた

 

しかし、この1年は

療養生活で発信を休んでいたため

私の「怒り」と「哀しみ」は

私自身のみを攻撃してきたのだ

 

だから

自分をいたわるために休んでいたのに

自分自身をより激しく責めさいなんでいた

そのことに

ジョンのヨーコの

クリスマスソングを聴くまで

気づけなかった

 

自分という内なる世界に

眼を向けるのは間違いではない

しかし 愛が足りないと

自分自身を守りとおせない

傷つき出血していることにも気づけない

 

私の愛が足りなかったから

私自身の愛し方がつたなかったから

 

過度に自分を痛めつけ

「怒り」と「哀しみ」という

癌が急激に増殖してしまった

 

愛が足りないなら

愛を増やそうと

なぜか素直に思えた

 

癌を攻撃して

死滅させようとするのではなく

愛を増やして

自分自身をも

じゅうぶんに愛せるようになって

癌を愛で包みこみ

癒していこうと思う

 

癌も

私自身だから

 

「怒り」と「哀しみ」を

ぶつけるのではなく

愛をひたすら増やして

「慈しみ」と「美しみ」と

そして「歓び」を

自分自身という内なる世界に

注ぎ込んでゆきたい

そして同時に

「慈愛と美と歓び」を

私自身をこれまで育ててくれた

外なる世界にも

広げてゆきたい

 

今なら

癌にも

「ありがとう」と

素直に言える

と書いたら嘘になるだろうか

 

この詩の中に出てくる「クリスマスソング」については、以下の詩で語っていますので、よろしければご確認ください。

 

「クリスマスの夜に」

 

風花未来の他の詩は、以下のページでお読みいただけます。

 

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