大関松三郎の詩「夕日」を、西田敏行が映画「学校」で朗読。

山田洋次監督の映画「学校」を昨日、DVDで鑑賞しました。この作品はかなり前にも見ているのですが、ある時、ふと想い出したり、急に見たくなります。

 

「学校」は、1993年11月6日(土曜日)公開の日本映画。

 

映画「学校」はこちらで視聴できます。

 

この映画の舞台は、夜間中学

 

国語の授業で、西田敏行が朗読する詩、これがとてつもなく素晴らしいのですね。

 

では、さっそく、その「夕日」という大関松三郎の詩の全文をご紹介しましょう。引用元は詩集「山芋―大関松三郎詩集 解説と指導記録」より

 

 

夕日

 

夕日にむかってかえってくる
川からのてりかえしで
空のはてからはてまで もえている
みちばたのくさも ちりちりもえ
ぼくたちのきものにも 夕日がとびうつりそうだ
いっちんち いねはこびで
こしまで ぐなんぐなんつかれた
それでも 夕日にむかって歩いていると
からだの中まで夕日がしみこんできて
なんとなく こそばっこい
どこまでも歩いていきたいようだ
遠い夕日の中に うちがあるようだ
たのしいたのしいうちへ かえっていくようだ
あの夕日の中へかえっていくようだ
いっちんち よくはたらいたなあ

 

 

大関松三郎の詩「夕日」の音声動画による解説はこちらに

 

さらにはこちらの動画でも「夕日」についてお伝えしました

 

奇跡と呼びたくなるほど、豊かな世界ですね。「いっちんち」「ぐなんぐなんつかれた」「こそばっこい」など、素朴な言い回しが、良い味を出しています。

 

一つひとつの表現について、解説したくなるのですが、野暮なので、やめることにします(苦笑)。

 

作者は、大関松三郎。昭和19年に、太平洋戦争で戦死した人です。

 

大関松三郎のプロフィールは以下のとおり。

 

 

大関松三郎 おおぜき-まつさぶろう

 

大正15(1926)年9月7日、新潟県古志郡生まれ。高小卒。新潟鉄道教習所に進み機関助手となるが、のち軍属を志して海軍通信学校に入学。

 

通信隊員として太平洋戦争にかり出され、昭和19(1944)年12月19日、南支那海で戦死。享年19歳

小学校時代、生活綴り方運動のリーダー寒川道夫(さがわみちお)の指導によってすぐれた作文や児童詩を発表して教育界に注目された。北陸農民の生活意識が鋭敏な感性を通じて描かれている。詩集『山芋』がある。

 

 

絶望的な時代を生きた、子供の詩ですが、その「豊かさ」は、言葉を失うほどの衝撃を与えてくれます。その衝撃の意味について熟考すると、現代社会の病理が見えてきそうです。

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夏芙蓉は「忍」の花?

33歳の時、私は病に倒れ、入院を余儀なくされました。冬に病棟に入ったのですが、季節はもう夏になっていたのです。五月の連休には退院できるのではないかと主治医に言われていたのに、病棟を出られるめどはいっこうにたちません。

 

あの日は、散歩をしていても、それほど風を感じないのに、遠くに2本並んで立っていた大きな栃の木の梢が揺れていました。

 

散歩の帰り道、足ととめて、木々が風に揺れるのを眺めることは、知らぬ間にささやかな楽しみになっていたのです。

 

ふと誰かに見つめられている気がして、振り返ると、そこには、薄紅の夏芙蓉の花が咲いていました。

 

厳しい暑さの中で、凛とした姿で立っている芙蓉の花。

 

あの時、確かに、私は夏芙蓉に、見つめられていたのだと思います。その涼しげな眼差しに、勇気づけられたのでした。

 

歳月が流れ、今になってあの芙蓉の花を想い出しますと、夏芙蓉は「忍」の花だと、染み入るように感じられるのです。

 

「忍(しのぶ)」という字は、心に刃(やいば)を乗せています。夏芙蓉の澄んだ眼差し、その優しさは、無言の強さからにじみでていたのでしょう。

 

白い花弁のにじむ紅は、血の色だとも想えます。

 

ひょっとすると、あの夏芙蓉の花は、誰かの化身だったのかもしれません。

 

化身となって現われた人は、どれくらいの長い間、心に刃を乗せたまま、運命のいたずらに、耐え忍んできたことか。

 

無事に退院した後、また私は社会の荒波にのみ込まれてゆくのですが、あの日、あの時に、夏芙蓉の花に出逢ったおかげで、完全には道を踏み外さずに生きてこられた気がしています。

 

芙蓉の花に見つめられていた、あの夏の日の静けさに、帰ってゆきたい、しきりとそう思うのです。

堺雅人の隠れ名作映画とは?

堺雅人(39)主演のTBS日曜劇場「半沢直樹」の人気が凄いらしい。2話の平均視聴率は21.8%で、第1話の19.4%を上回り、第3話でとうとう今年(2013年)最高視聴率の22・9%をたたき出しました。

 

私も1話と2話は見ましたが、悪者たちをぶちのめすという単純な設定が、夏の暑さをブッ飛ばす効果も期待できそうです。

 

プライベートでは菅野美穂(35)と4月に結婚したばかりで、公私ともども絶好調という感じですね。

 

さて、堺雅人という役者さんには、前々から注目していまして、ぜひご紹介したい「隠れ名作映画」があるのです。 この記事の続きを読む