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与謝野晶子という名前を聞いた時に、すぐに思い浮かぶのが以下の一節です。
あゝをとうとよ、君を泣く、
君死にたまふことなかれ、
末に生れし君なれば
親のなさけはまさりしも、
親は刃(やいば)をにぎらせて
人を殺せとをしへしや、
人を殺して死ねよとて
二十四までをそだてしや。
日露戦争の時に歌った「君死にたまふことなかれ」という詩の一節。戦争にとられてしまった弟のことを嘆いた詩ですが、封建的な時代に、戦争を否定する視点から書くのには、よほどの決意が必要だったでしょう。
それと、この短歌が好きです。
清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵会う人みな美しき
二十代の頃、よく口ずさんだ歌です。映像が鮮やかにに浮かぶのと、気持ちの高揚感が生々しく伝わってきて、覚えやすかったのでしょう。
この短歌は有名な「みだれ髪」に収められています。
で、今日ご紹介するのは、「人間礼拝」という与謝野晶子の著書に出てくる言葉です。
人間は何事にせよ、自己に適した一能一芸に深く達してさえおればよろしい。
たくさんのことを覚えるよりも、ひとつことに専心する方がラクだし、楽しいと思うのですが、それがなかなか難しいらしい。
私は風花塾を運営していますが、他の塾、しかも複数の塾にも在籍しているという人が珍しくありません。
まずは、1つの方法で成功すべきだと思うのですが、ひとつの方法だけでは不安だと感じるのでしょうか。
他の塾に入っていなくても、スカイプ相談の時に、タイムテーブルをお聞きしますと、実にいろんなことをやられている。
そんなにいっぺんに並行してやらないで、もっと絞り込んで、集中した方が成果が上がりやすいと思うのですが、それがなかなかできないみたい。
料理の世界ではよく言われることですが、おいしいカレーライスを作れるようになると、すべての料理に通じることができるとのこと。
ひとつことを深く追求することで、物事の本質(核心)をつかむ、それこそが大事なのですね。
ただ、与謝野晶子は「自己に適した」という言葉を付け加えています。自分に合っていることでなければ、ライフワークにはできませんものね。