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読んだ本について書く場合、いろんなスタンスがあります。
「感想」「書評」「ブックレビュー」、この3つの書き方は、それぞれ違うのです。
【感想】
「感想」は、自分が読んだ本について、忘れないためのメモという性質があり、感想を書くことで、自分で確認する意味が強いかと思います。つまり、メインの読者は自分自身なのです。
【書評】
「書評」は、その本を正当に評価するという社会的な意味がまずあります。
朝日新聞の論説主幹であった笠信太郎(りゅう しんたろう)氏が、書評について、以下のように定義していることに注目してください。
さきに読んだものが、まだその本をよんでいないものに話してきかせることである。
さすが、ものの見事な定義ですね。この定義を読んでわかるのは、書評のメインの読者は「まだその本をよんでいないもの」だということ。書評は、自分に向かって書くものではないのです。
著者と評者との対話ではなく、評者と読者との対話が「書評」という表現形式だと言えるでしょう。
「週刊朝日」元編集長である扇谷正造(おうぎや しょうぞう)氏は、書評において大切なことは、以下の3点だと語っています。
1)本の評価をあやまらないこと。
2)内容をわかりやすくダイジェストすること。
3)その結果(ああ、何か一つトクをした)と感じさせること。
たった3つのポイントですが、かなり深い意味を含んでいるようです。
本の評価を間違えないためには、相当にふだんから勉強している必要があります。
わかりやすく伝えることが実は非常に難しい。「ある事柄をよく理解したもののみが、平易にそれを説明することができる」という言葉がフランスにあります。わかりやすく説明するには、物事の本質を理解していることが前提となるのです。
厳しく言うならば、その本の核心を理解しなければ、決して、わかりやすく説明できない、つまり、良い書評は書けないことになります。
そして、読者にトクをしたと感じさせるには、独自の視点、新たな価値の付与など、筆者の文章力ならぬ人間力が必要となることは言うまでもありません。
【ブックレビュー】
さて、次に「ブックレビュー」はどうでしょうか。今回は、一般の方々がブログに書くブックレビューについて、考えてみることにします。
「書評」は評者と読者との対話だと言いましたが、「ブックレビュー」もそれは同じです。ただし、ブックレビューの場合は、対話で終わるのではなく、読者にその本を買ってもらうという要素が書評よりも大きいと思われます。
優れたブックレビューの目的は、読者がその本を購入した時に達成されるといっても過言ではありません。
では、売れるブックレビューはどうしたら書けるのでしょうか?
扇谷正造氏の語る3つの要点は、もちろん、ブックレビューにおいても大切です。
ただ、読者に高い確率で買ってもらうためには、それなりの工夫が求められます。
いろんな要素が必要なのですが、スペースがないので、ここでは1点だけを強調しておくことに。
その1点とは、読者がその本を買って読むと、読者は必ずこう変わるということを書くことです。「ためになる」「役に立つ」だけでなく、読者の考え方、価値観、生活習慣、身体的変化、さらには、生き方まで変わってしまうことを、主張するのです。
逆に言えば、何らかの有益な変化をもたらさない本など、大して読む価値はないとも断言できてしまいます。
さまざまな娯楽、さまざまなメディアがあふれている中、もっとも時間と労力がかかる、読書をしてまでも得るべき「大切なことの正体」を明かせば、きっと読者に、購入という行動を起こさせることができることでしょう。