映画「祈る人」は芦川いづみ主演の切ない成長物語

映画「祈る人」は1959年に公開された。監督は滝沢英輔。原作は田宮虎彦の同名小説。

 

月丘夢路芦川いづみの母娘をはじめ、複雑な人間関係の中で芦川いづみが悩みつつ成長してゆく姿を、真面目に描いている文芸作品である。

 

これも、芦川いづみのために作られたような映画だ。あの名女優・月丘夢路がかすむほどの鮮烈な光を芦川いづみが放っている。

 

それにしても、1950年代の映画は良い。エンタメ性よりも、文芸の香りの方が強いのである。

映画「佳人」では、芦川いづみが薄幸のヒロインを…

映画「佳人」は、芦川いづみが薄幸のヒロインを演じた、古風なメロドラマ。

 

監督は滝沢英輔。大衆娯楽小説をコテコテに演出した映画だ。1958年の作品だが製作年以上の古さを感じる。

 

映画「佳人」はこちらで視聴可能です

 

原作の同名小説の作者である藤井重夫は、1951年に「人」で芥川賞候補、1965年には大阪の戦災孤児を描いた「虹」で直木賞を受賞している。

 

久しぶりに、品格がなく、完成度の低い映画を見た。

 

芦川いづみファンならば必見かもしれないが、鑑賞にたえうる作品ではない。

映画「風のある道」は芦川いづみ主演の文芸作品ふう心理ドラマ

西河克己監督の映画「風のある道」を見た。

 

1959年の日活映画だから、まだ青春路線に切りかわっていない。

 

芦川いづみ主演の文芸作品ふうのメロドラマである。

 

映画「風のある道」はこちらで視聴可能です

 

原作が川端康成というから少し驚いた。成瀬巳喜男監督の映画「山の音」も川端康成の同名小説が原作だったが……

 

西河克己監督は青春映画もうまいが、文芸作品ふうの心理ドラマの方が私はずっと良いと感じている。

 

ともあれ、この「風のある道」も、芦川いづみのための映画と言えるだろう。