今日の風花未来の詩は「眠りの森の小さな天使」です。
眠りの森の小さな天使
眠りの森の
奥深くに
ふたたび迷い込んだ
激しいめまいに襲われ
横になると
深い眠りに沈んでいった
副作用が激しくなり
抗がん剤が
また一つ減った
なのに
今までなかった
無慈悲な責めが
私を闇の中に
縛りつける
解き放て
解き放て
夢の中で
私は何度も叫んだ
眠り病がふたたび
再熱したようだ
薬が減ったのだから
今までより動けるはずだと
二日連続で外出したのが
裏目に出た
断続的に訪れる
不意打ちのめまいが
私を眠りの森に誘う
眠りの森は
底なし沼に似ている
もがいたら
余計に深みにはまる
薬が 病が
私に眠りを求めているのだから
ただ もう 今は
眠りつづけるしかない
闇の中に
ふっと光が現れた
子供
いや
小さな天使だった
天使は
蝶のように
私のまわりを
ふわふわと舞う
可愛らしい微笑に
心がほどけて
自分でも意外な言葉を
私は天使に差しだした
化学療法室に来た
「あの天使」には
もう逢えないのかな?
私の問いに
天使は笑いながら
こう答えた
「そんなことないよ」
悪戯っぽく笑ったあと
「あの天使」は
消えたわけではないし
逢えないことはない
という意味のことを
蝶の羽をもつ天使は
わざわざ眠りの森にまで
舞い降りて来て
天使の言葉で
私に囁いてくれた
天使の囁き言葉は
初めて聴く言語だったけど
不思議と
なんの抵抗もなく
心にとけていった
天使がいなくなると
眠りの森はふたたび
深い闇に閉ざされた
だが私はもう
闇を怖れない
やがて
闇が裂け
光が指してくるのを
信じられているから
眠りの森の記憶
眠りの森の天使
天使のささやきは
次々と光となって
暗い森を照らした
小さな天使の微笑み
その残像が
私をかぎりなく
勇気づけてくれる
抗がん剤投与の内容が変わりました。4種類の薬を注入していたのが、2種類になりました。副作用がきつすぎるので、調整したわけです。
ところが、19日に投与した抗がん剤の副作用が、これまでで一番ひどいのです。 たぶん、これまでの蓄積があって、急に激しくなっているのだと思います。
気持としては「薬が減ったんだから、動こう、美味しいものも食べよう」なのですが、逆に昨日は昼に外食してから、寝たきり状態です。
今日も、外出は控えようと思っています。 とにかく副作用がきつい時は、寝ているしかありません。
実際に、いくらでも眠れます。だから、詩の中では「眠りの森」と、眠っている状態のことを表現しているのです。
要するに「眠りの森」が詩に出てくる時は、副作用が最も強い状態だと思っていただければ幸いです。
抗がん剤の副作用が最もきつかった時にできたのが、以下の詩です。
あの最も辛かった時には、天使はあらわれなかったのですが、今回は眠りの森に天使が舞い降りてくれました。
以下、天使の出てくる詩をまとめてみましたので、お読みいただけたら嬉しいです。