今回ご紹介するのはロブ・ライナー監督作品「スタンド・バイ・ミー」。

余りにも有名な作品。
テレビでも何度も放映されているはずだ。
だが、なぜか、最後まで見たことがなかった。縁がなかったというか、なかなか映画の世界に入ってゆけなかった。
見ていたら、たまたま電話がかかってきたとか、宅配便がきたとか、そういうことで見られないことって、よくあるものだ。

今回見て、キング原作の映画化作品の中で五本の指に入る名作だと確信した。

1986年アメリカ映画。
監督:ロブ・ライナー。

モダン・ホラーの帝王スティーヴン・キングの非ホラー短編を基に、R・ライナーが少年時代の想い出をさわやかに描き上げた名編。オレゴンの田舎町、行方不明になった少年の死体を見つけようと、ちょっとした冒険旅行に出かける4人の少年の姿を描く(ヤフー資料より)。

12歳の時のたった2日間の話。

自分の少年の時の忘れない思い出は誰でも持っているだろう。
それが夏のこととなれば、いっそう美しく感傷的であるに違いない。
それを嫌味のないタッチで描いているから、いつまでも愛されているのだろう。
嫌味なく、というところが難しいのではないか。
どうしても、ケレンミが鼻につく場合が多いから。

最後に小説家が書き終えた原稿を、ずっと見ているシーンがある。

いいな、と思った。

今は、少年の頃の感覚にどっぷり浸る余裕がない。また見返してみたい作品だ。

原作の小説だが、これが凄い傑作。

映画も素晴らしいが、原作はそれ以上だ。
キングファンならば口をそろえて、そう断言するのではないか。

その魅力の一つに語りの巧さがある。

酔いしれるとは、このことをいうのだろう。

たっぷりと、リズミカルに、抑揚をつけた語り口は、日本人の作家には真似できない。真似すれば、キザになったり、嫌味になったりしてしまう。

これぞ、キング節。ストーリーテラーの真骨頂が味わえる。