新しめの映画は滅多に紹介しないのですが、2000年以降の邦画にも侮れない作品はないわけではありません。
今回取り上げる、矢口史靖(やぐちしのぶ)監督の「ウォーターボーイズ」は、映画の素晴らしさを思い出させてくれます。
矢口史靖監督作品で私が初めて見たのは「スウィングガールズ」でした。その面白さに度胆を抜かれたにもかかわらず、なぜか、その後、矢口史靖の映画に触れなかったのです。
今回は、偶然、You Tubeで「スウィングガールズ」を見て感動し、これはもう、他の作品も見るしかないと思って、レンタルショップに直行したのでした。
で、矢口監督の出世作であり代表作として評価が高い、「ウォーターボーイズ」から鑑賞することにしました。
矢口史靖って、何と欲張りな映画監督なのだろう。「ウォーターボーイズ」の中には視聴者を楽しませる仕掛けが、最初から最後までギッシリと詰め込まれていました。
こんなに入れ込まなくても良いと思うのですが、このテンコ盛りエンターテイメントが、矢口映画の真骨頂なのでしょう。
それにしても、この矢口史靖監督は、実にセンスが良いですね。タイミングの取り方が絶妙なので、テンポが良く、視聴者を一瞬たりとも飽きさせません。
そして、これまでの映画に足りなかった部分、とことん明るく、とことん元気になれる、底抜けの映像パワーを見る者に惜しげもなくプレゼントしてくれます。
これほどまでに突き抜けた陽性の才能は、日本映画には今まで存在し得なかったのですね。
邦画を語る時、昔の映画は凄かったという言葉が思わず口をついて出てしまうのですが、そういうネガティブな邦画観は、矢口史靖監督の出現により、薄れてゆくのではないかと感じるほど、「ウォーターボーイズ」は、実に面白い映画でした。