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「熱にうなされる(ねつにうなされる)」って、うっかり使っていませんか。
「熱にうなされる」は誤用。「熱にうかされる(ねつにうかされる)」が、正しい表現です。
「熱にうかされる」という言葉について、大辞泉は以下のように解説しています。
熱(ねつ)に浮かさ・れる
1 病気で高熱のためにうわごとを言う。
2 前後を忘れて夢中になる。のぼせ上がる。「―・れていて忠告など耳に入らない」
◆文化庁が発表した平成18年度「国語に関する世論調査」では、本来の言い方である「熱に浮かされる」を使う人が35.6パーセント、間違った言い方「熱にうなされる」を使う人が48.3パーセントと、逆転した結果が出ている。
間違って「熱にうなされる」を使っている人の方が多いのですね。
高熱を出しているせいで、眠っていても熟睡できず、悪い夢にうなされてしまう、そんな状態をイメージして「熱にうなされる」と使ってしまうのでしょう。
ただ、ここで私が注目したいのは「うかされる」という言葉です。大辞林は「うかされる」を以下のように説明。
うかさ・れる 0 【浮かされる】
(動ラ下一)[文]ラ下二 うかさ・る
〔動詞「浮かす」の未然形に受け身の助動詞「れる」の付いたものから〕
(1)発熱などのために意識がはっきりしなくなる。
「熱に―・れてうわごとを言う」
(2)心がある事のとりこになる。
「音楽に―・れる」
(3)茶などを飲んで、神経が興奮する。
「茶に―・れると、夜ねられませぬから/咄本・鯛の味噌津」
「浮かされる」という言葉は、上の解説を読みますと、けっこう文学的ですね。この「浮かされる」という表現に「豊かさ」を感じるのは私だけでしょうか。
「浮」 の文字が重要ですね。「~に浮かされる」という言い回しは、要するに、尋常でない状態を指す言葉。「うなされる」などという即物的な表現よりは、はるかに、心理的で、情緒的なのが「浮かされる」という日本語なのです。
さらに「(熱に)浮かされる」に類似した表現(同義語)を、ご覧ください。かなり表現の幅が広がるはずです。
今後は「~に浮かされる」という言葉を、積極的に使ってゆこうと思います。
「うなされる」は「悪い夢にうなされる」という時ぐらいにしか使えない言葉だと決めてしまえば、間違いもおきないでしょう。