「文章の基本ルール」について、このカテゴリでは解説しています。

 

今回のテーマは「文末の『……』は控える」です。

 

さっそく例文をあげてみます。いただいたお便りに少し手を加えさせていただきました(ご本人の許可は得ています)。

 

 

風花さんの電子書籍「風花瑠璃」を読み始めたんですが……

私自身が経験したことと、そっくりなことが書かれていて、ビックリしました。「もしも、渋谷のスクランブル交差点のまん真ん中で、突然、しゃがみこんでしまったら、どうなるか」というんですね。

 

私もまったく同じことを考えていたんで、読んだ時、体が固まってしまって、考え込んでしまいました。その時の気持ちは何て表現したらよいのか……

 

街の喧騒が消えてしまって、自分の鼓動だけが大音量で聴こえてくる。冷や汗が流れてきて、見上げると、そこには瑠璃色の空が輝いている……

すごく怖いシーンですが、文章を読んでいると、気持ちが落ち着いてゆくので不思議です。

風花さんは、たぶん「風花瑠璃」で、そうした、いたたまれないような不安感を消すための方法を書こうとされたのだと思います。

 

 

上の文章では、文末の「……」が3回も使われていますが、これは必要ないですね。

以下、修正してみましょう。

 

 

風花さんの電子書籍「風花瑠璃」を読み始めました。感じたことをお伝えしますね。

 

私自身が経験したことと、そっくりなことが書かれていて、ビックリしました。

 

「もしも、渋谷のスクランブル交差点のまん真ん中で、突然、しゃがみこんでしまったら、どうなるか」というんですね。私もまったく同じことを想像したことがあるので、読んだ時、体が固まってしまって、考え込んでしまいました。

 

その時の気持ちはうまく言い表せません。ただ、こんなシーンが心に浮かんできたんですね。

 

「街の喧騒が消えてしまって、自分の鼓動だけが大音量で聴こえてくる。冷や汗が流れてきて、見上げると、そこには瑠璃色の空が輝いている」

すごく怖いシーンですが、不思議なことに、気持ちが落ち着いて、その夜は熟睡できたのでした。

風花さんは、たぶん「風花瑠璃」で、多くの人が抱いている、いたたまれないような不安感を消すための方法を書こうとされたのだと思います。

 

 

いかがでしょうか。「……」を使わない方が、わかりやすいですし、文章の流れも良くなると思います。

 

私がライターの修行中に、師匠にも、「……」は使いすぎるな、と教えられました。

 

その理由は、安易に「……」でごまかしたり、逃げたりするクセがついてしまうからです。「……」によって、余韻を残したりして効果が正常に上がっているケースは、極めて少ないと言わねばなりません。

 

「……」を使うのではなく、前後の言い回しを工夫すれば、文章の流れを滑らかにすることは可能です。ご自分の書いた文章を見直し、「……」を使っている箇所があれば、書きなおしてみてはいかがでしょうか。

 

おそらくは、どうしても「……」を使うしかないという状況ではなく、書き換えできるはずです。