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「生涯一書生」は吉川英治が愛した美しい日本語

生涯一書生」という言葉をご存知でしょうか。「しょうがいいちしょせい」と読みます。

 

【動画】吉川英治の愛した「生涯一書生」という言葉が心に沁みる。

 

「しょせい」という言葉は、今では日常生活では使いませんね。現代ふうに他の言葉に置き換えるならば「学生」がいちばん近いでしょうか。

 

要するに「何かを一心に学んでいる人」くらいの意味でとらえれば妥当かと思います。

 

もともとは仏教の言葉ですが、作家や文化人の中には、この「生涯一書生」という言葉を愛した人がいまして、その一人が、小説「宮本武蔵」や「親鸞」などで有名な吉川英治です。

 

扇谷正造に「吉川英治氏におそわったこと」という名著があります。その中に「生涯一書生」という短文があるのですが、それがまた素晴らしい。

 

といっても、誰も、その本を買うとか、図書館で読むなどといういことはしてくれないでしょう。ですから、少しだけ「生涯一書生」という言葉にまつわるエピソードをお話しします。

 

昭和35年11月3日、吉川英治は文化勲章を受けられました。

 

吉川英治ははじめ、文化勲章を受けることを拒んでいたそうです。日本で最高の評論家といわれる小林秀雄が、吉川英治を説得して、ようやく吉川英治は勲章を受けることを決めたと伝えられています。 この記事の続きを読む

山田太一「それぞれの秋」は家族ドラマの最高傑作?

山田太一が脚本を担当したドラマ「それぞれの秋」のDVDが届いたので、一気に見終えました。

 

木下惠介生誕100年::木下惠介・人間の歌シリーズ それぞれの秋 DVD-BOX [ 小倉一郎 ]

 

この「それぞれの秋」は、家族ドラマの最高峰である、という言葉が浮かんだのですが、あのドラマさえなければ、ちゅうちょなく、そう書いたでしょうけれど。

 

あのドラマとは、同じく山田太一が書いた「岸辺のアルバム」です。

 

さて「それぞれの秋」といっても、ほとんどの人は見ていないでしょう。私も今回、初めて鑑賞しました。

 

「それぞれの秋」は、1973年9月6日から12月13日までTBS系列の木曜22:00~22:56、木下恵介の「人間の歌シリーズ」枠で放送されました。

 

5人家族の物語。父親役を小林桂樹が、母親役を久我美子が演じています。久我美子は黒澤明の映画で見るくらいですが、お嬢様育ちで真面目で勝気な母親役を好演。

 

女優としての評価をかなり上げなければいけないと感じました。

 

小林桂樹は演技派の俳優さんとして有名ですが、さすがに上手い。演技力だけで楽しめる俳優さんですね。

 

長男を林隆三、次男を小倉一郎、末っ子を高沢順子が演じているのですが、それぞれのキャラが派手ではないけれど立っていて、ドラマとしての厚みは充分。

 

それに、スケバン役として桃井かおりが出演し、異彩を放っています。小倉一郎との関係は笑えます。

 

かなり良い家族ドラマですが、実は最初の3話ぐらいまでは、大したことないと感じていて挫折しそうになりました。ところが、小さなトラブルが、とてつもない家族戦争のようになってゆく過程で、のめりこんでしまったのです。

 

木下恵介に山田太一は「好きなように書いていいよ」を言われたそうです。確かに、木下恵介の企画となっていますが、随所に後の「山田太一節」といわれるセリフ回しの片りんがうかがわれ、その点も興味深く鑑賞できました。

 

岸辺のアルバム」のセリフには剃刀のような切れ味があります。一方「それぞれの秋」は木刀です。この木刀で叩かれたら、あばら骨の数本は簡単に折れてしまう、それくらい迫力のある木刀であり、決して竹刀ではないのです。

 

ナヨナヨとした次男役の小倉一郎が実に効いており、彼のナレーションもすばらしかったことを付け加えておきます。

 

山田太一ドラマの感想はこちらにまとめましたので、ぜひお読みください。

ライターにとって「想像力」とは?

今回のテーマは「想像力」です。

 

文章を書く場合、「想像力」が不足していますと、読者との間に友好関係が築けません。

 

つまり、読者が増えてゆくことはないのです。

 

「想像力」とは「自分がもしも~だったら……」と考える心のゆとりとも言えます。

 

読者視点を持つことは難しいと考えている人が多いのですが、「もしも、自分が読者の立場だったら……」と想像すれば、おのずと見えてくるものがあるでしょう。

 

想像力とは「思いやり」のこと。

 

読み手の気持ちを配慮している文章は、非常に読みやすいですし、疲れている時にも、癒され、元気が出るものです。

 

反対に、相手の心情を思いやることなく、ゴリ押しをしてくるような文面は、正直、疲れます。

 

例えば、無神経なメール文を読んで傷ついたり、コメントによって気分が落ち込んだりしたことはありませんか。

 

自分がされて嫌なことは、他人には絶対にしない、そう考えるだけでも、ちょっとした文章の書き方が変わったりするものです。

 

逆に、自分がされて嬉しいことを、読者に提供してみようと考えれば、視界が開けてきませんか。

 

なかなか、できないこともありますが、思いやりの精神は大事ですよね。

 

「もし自分が~だったら」と考える、心のゆとり、豊かな想像力を持っていれば、読者に誤解されることは避けられ、

まろやかな友好関係を育ててゆけるのではないでしょうか。

 

想像力が豊かになれば、文体も変わると思います。