- 投稿 2017/12/23更新 2020/03/13
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「生涯一書生」という言葉をご存知でしょうか。「しょうがいいちしょせい」と読みます。
【動画】吉川英治の愛した「生涯一書生」という言葉が心に沁みる。
「しょせい」という言葉は、今では日常生活では使いませんね。現代ふうに他の言葉に置き換えるならば「学生」がいちばん近いでしょうか。
要するに「何かを一心に学んでいる人」くらいの意味でとらえれば妥当かと思います。
もともとは仏教の言葉ですが、作家や文化人の中には、この「生涯一書生」という言葉を愛した人がいまして、その一人が、小説「宮本武蔵」や「親鸞」などで有名な吉川英治です。
扇谷正造に「吉川英治氏におそわったこと」という名著があります。その中に「生涯一書生」という短文があるのですが、それがまた素晴らしい。
といっても、誰も、その本を買うとか、図書館で読むなどといういことはしてくれないでしょう。ですから、少しだけ「生涯一書生」という言葉にまつわるエピソードをお話しします。
昭和35年11月3日、吉川英治は文化勲章を受けられました。
吉川英治ははじめ、文化勲章を受けることを拒んでいたそうです。日本で最高の評論家といわれる小林秀雄が、吉川英治を説得して、ようやく吉川英治は勲章を受けることを決めたと伝えられています。 この記事の続きを読む