映画「陽のあたる場所」の不思議な透明感

映画の「シェーン」「ジャイアンツ」などで有名なジョージ・スチーヴンス監督の「陽のあたる場所」を久しぶりに鑑賞しました。

 

映画「陽のあたる場所」はこちらで視聴可能です

 

この切なさ、胸がしめつけられる感じ、それがすべてのような映画です。感想を書くのが極めて難しい。

 

あえて書くとしたら、まずは監督・ジョージ・スチーヴンス監督の偉大さを強調したいと思います。

 

「偉大」などという言葉は軽々しく使いたくありません。しかし、この「陽のあたる場所」の演出を見ていると、批評など無意味だと感じてしまう。

 

ワンカット、ワンカットが、絶妙を極めているのです。

 

映画の素晴らしいところ、肝心要、エッセンスというものを、モノクロームの映像に凝縮させてしまっていて、この唯一無二の映像空間は、神レベルの透徹感を有している。

 

モンゴメリー・クリフトエリザベス・テイラーは、この「陽のあたる場所」において、映画史上に鮮明な印象を刻んでいます。この二人の透明感だけでも、ゾクゾクしてしまう。

 

この「陽のたる場所」は、平凡な日常の繰り返しの中で鈍化しかけた、無意識下の「あわだつもの」を、揺り起こしてくれる。眠りにつこうとしている蒼い感性を、肩を揺さぶられるように、呼び覚まされてしまうシネマです。

 

あまりにも純度が高い映画なので、生涯のうちに、見るのは3度くらいにとどめておいた方が良いかもしれません。自分の感動のボルテージを下げないために。

 

この映画の不思議な透明感、ヒリヒリする感じに浸りたいと感じているうちは、自分はまだだいじょうぶだと思うのです。

映画「デイライト」はスタローンの最高傑作?

シルヴェスター・スタローン主演の映画「デイライト」を見ました。これまでに5回以上は見ていますが、ブルーレイでの鑑賞は初めてです。

 

デイライトはこちらで視聴できます

 

「デイライト」は1996年の作品ですが、こういう映画を見ると、アメリカ映画はこの頃がピークで、以降はただひたすら下降線を描いているとしか思えない、といったら言い過ぎでしょうか。

 

「デイライト」(Daylight)は1996年に公開された、シルヴェスター・スタローン主演のアメリカ映画。

 

監督はロブ・コーエン。スタローンの相手役を演じた女優は、エイミー・ブレネマン

 

テーマは極限状況の突破。

 

孤独で過去に傷を持つ勇敢で心優しい男の奮闘劇が、骨太に描かれています。

 

ストーリーは極めて単純。その単純さ、健全な精神性が、病み過ぎた現代から眺めると、羨ましいほどに輝いているのです。

 

武器はつかわずに、肉体の限界に挑む主人公。

 

そして、見事、絶体絶命のピンチを脱するまでのスタローンの姿は決してスマートではなく、格好よくもありません。泥臭く、時には無様であるのですが、そのひたむきさには感動しないではおれません。

 

スタローンの雄姿は、懐かしい蜃気楼のようにも感じました。

 

スタローンの魅力を余すことなく味わえる映画ですが、その一方で、群像劇、人間関係劇、心理劇という側面からも楽しめることも忘れてはならないでしょう。

 

崩落したトンネルの閉じ込められた、様々な人間たちの葛藤と心理の揺れと変化も、ていねいに描かれていました。

 

この点も、この映画「デイライト」の美点であることは間違いありません。

 

この「デイライト」は「クリフハンガー」とともに、スタローン映画の中で、もっとも完成された映画だと感じます。

 

「クリフハンガー」の感想はこちらに⇒「クリフハンガー」はスタローン映画の頂点の一つ。

 

ロッキー」「ランボー」シリーズよりも、私はこの「デイライト」と「クリフハンガー」が、スタローン主演映画の最高傑作だと思っているのですが、いかがでしょうか。

「穏やか」は美しい日本語のひとつ

私が愛する美しい日本語のひとつに「穏やか」があります。

 

思えば、私はいつも「穏やかな暮らしの風景」に憧れつつ、生きてきた気がします。そして、それはいまだに、かなえられておりません。

 

「穏やかであること」、それは私の悲願です。

 

しかし、今年がはじまって1ヵ月が経過しようとしていますが、およそ「穏やか」とは、かけ離れた心理状態にあります。

 

何事もない、平穏無事な暮らしを求めながら、煩悩にふりまわされる毎日です。

 

安らかな日常、穏やかな時の流れへの憧れは、日々強くなっています。それをかなえるには、やはり、欲を捨てるしかないのでしょうか。

 

欲望は生きる原動力でもあるので、これを捨ててしまうと、生気が失せるのではという心配も一方であります。

 

穏やかな暮らしに憧れつつ、現状打開のために右往左往する日々が、当分は続きそうです。