日本の名作映画

五社英雄監督の映画「三匹の侍」は黒澤明の「用心棒」に負けない生命感があふれている。

五社英雄の映画「三匹の侍」は、おそらくは、五社映画の最高決済である、というふうな陳腐な書き出ししかできない自分自身がもどかしい。

「三匹の侍」は1964年5月13日に公開された日本映画。五社英雄の初監督の映画です。ストーリーはテレビドラマ版の第1シリーズ第1話「剣豪無宿」がベースとなっています。

主なキャストは以下のとおり。

丹波哲郎 … 柴左近
長門勇 … 桜京十郎
平幹二朗 … 桔梗鋭之介
桑野みゆき … 亜矢
木村俊恵 … おいね
香山美子 … おやす
三原葉子 … おまき
藤原釜足 … 甚兵衛

五社英雄を黒澤明と比較する愚かさを私は知っています。

ただ、この「三匹の侍」の完成度、この作品の緊張感、躍動感、人間たちの実在感と生命感などは半端ない。決して黒澤明の「用心棒」「椿三十郎」に劣っていない、いや、それ以上だと言いたくなってしまうのです。

丹波哲郎の熱演は、時代劇映画の歴史に残る。

それにしても、丹波哲郎の迫力がすごい。仲代達也や三船敏郎のように作品に恵まれていたら、とてつもない演技を見せてくれたであろうに。

ただ、そうはならなかった。小林正樹監督の映画「切腹」において、主演の仲代達也に切られる役で登場し、見事な存在感を示していますが、主役ではないのです。

仲代や三船に負けない演技を見せたのは、この「三匹の侍」だと私は思っています。

ニヒルな平幹二朗、土くさい長門勇の「キャラ立ち」が鮮やかすぎる。

黒澤明の「七人の侍」はあまりにも有名ですが、五社英雄の描いた「三匹の侍」は、キャラ立ちの鮮やかさでは「七人の侍」を凌いでいるように感じられます。

その理由には、三匹の侍の「侍らしさ」、立ち回りの迫力とうまさがあげられるでしょう。

立ち回りは「七人の侍」よりも「三匹の侍」の方が鋭く迫力がある。

さらには、三人の性格、剣術のスタイル、生き方、価値観の違いなどが、ごく自然に、かつ格調高く描出されているのです。

正義感が強い一本気な柴左近(丹波哲郎)、哀愁を秘めたニヒルな桔梗鋭之介(平幹二朗)、土くさく人情もろい桜京十郎(長門勇)は、時代劇史上に残る、永遠の人物造形となるに違いありません。

四人の女優が、この映画に彩りと深みを与えている。

以下の四人のキャラクターも、それぞれ全く違いながらも、無理なく作品に溶け込んでいます。

桑野みゆき … 亜矢
木村俊恵 … おいね
香山美子 … おやす
三原葉子 … おまき

女性の描き方は、黒澤明と、五社英雄では、まったく違います。黒澤は女性を極端に美化しますが、五社は生々しく情念をあぶり出しています。

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