第3の愛」という中国映画をご存じでしょうか。

 

韓国の人気俳優である、ソン・スンホンが主演。彼の声が中国語の吹き替えになっていて、違和感を覚えました。

 

しかし、それも恋人役を演じた女優が凄すぎ、あっという間に映像に没入できたのです。

 

その女優の名は、リウ・イーフェイ。中国人です。微妙な心理の揺れを表現できるだけでなく、その表現力は芸術の域にまで達していると感じました。

 

第3の愛

 

ソン・スンホンも二枚目俳優の中では、演技力のある方ですが、リウ・イーフェイの引き立て役にまわってると見えたくらいです。

 

もちろん、リウ・イーフェイの魅力を引き出してるのは、映画監督の手腕でありましょう。

 

カメラワーク、フレーミング、パンフォーカスが少なく、ボケ味を生かした美しい映像は、詩的でさえあります。

 

映像がきれいすぎて、プロモーションビデオのように感じる時もありましたが、主人公の二人の演技はうまいので、安っぽい感じはしませんでした。

 

これだけの完成度を誇示できる映画監督は誰だろうかと思ったら、あの映画「私の頭の中の消しゴム」のイ・ジェハンでした。

 

映像の美しい、デリケートな心理描写に優れた監督ですね。

 

ジャンル分けするなら、ラブロマンスですが、単なるエンターテインメントというには、もったいないようなセンスの良さが光っています。

 

ただ、ヒロインの妹の存在はいかがなものかと思いました。もしも、この妹がいなかったら、もっと深く二人の愛を描けたのではないでしょうか。

 

妹をご都合主義的な演出に利用したために、物語のリアリティが損なわれているのが残念です。

 

しかし、それは唯一の決定であって、総合的には、ハイレベルな映画です。

 

リウ・イーフェイの他の作品を、ぜひ見たいと思います。それと、イ・ジェハン監督の映画も。