映画「黒の試走車」は1962年に公開された大映配給による日本映画。
「試走車」は「テストカー」と読む。
梶山季之の経済小説「黒の試走車(テストカー)」が原作である。
監督は増村保造。主演は田宮二郎。
田宮二郎の上司を演じた高松英郎が主演と言っても差し支えないほど、強烈な存在感を示している。
高松英郎は「巨人と玩具」でも狂気的なサラリーマンを演じて強い印象を刻んでいるが、この「黒の試走車」でも似た役回りであり、これは高松英郎のハマリ役と言えるかもしれない。
それにしても、この映画は何度見ても面白い。
全編にみなぎる緊張感は、格別の快感を生み出している。極めて上質なエンターテイメントだ。
主演の田宮二郎が美しかった。最後近く、捨て台詞を吐くが、このセリフは資本主義という異常な競争社会の狂気を語っており、そのセリフを言う、田宮二郎は鬼神のような美しさで私の魂を震わせてくれた。
この映画「黒の試走車」は増村保造監督の最高傑作であるだけでなく、日本映画の全盛期が生み出した隠れ名作だと、私は主張したい。