映画「愛情物語」は尊いギフト(贈り物)だと感じました。

愛情物語」は1956年にアメリカで制作された映画。1930年代から1940年代にかけて活躍した実在のピアニスト、エディ・デューチンの生涯を描いています。

 

主な出演者は、タイロン・パワーキム・ノヴァクヴィクトリア・ショウ、ジェームズ・ホイットモア、レックス・トンプスン。

 

あまりにも有名な映画ですが、今回、初めてじっくりと最初から最後まで鑑賞しました。

 

「愛情物語」は映画というより、人類への尊いギフト(贈り物)であると感じました。

 

「人類」というかなり大げさな言葉を使ってしまったくらい、感情が高ぶったのです。

 

いつの時代にも戦争はあります。残虐非道な行為はなくなりません。同じ人間でありながら、どうしてこれほどまでに境遇が違うのか、と運命を呪いたくなることもあります。

 

しかし、映画の素晴らしさは、再生機器さえあれば、時代、場所、人種を限定せす、誰でも平等に見ることができるのですね。

 

その意味で「愛情物語」は、単なるエンターテイメントを超えて、差別なく、あらゆる人間へ向けて平等に贈られたギフトだと強く感じ入った次第です。

 

映画も「愛情物語」の域まで達しますと、評論は必要ありません。主題が純粋すぎて、映像詩として完成されているので、どんな細部さえも論評を拒絶しているのです。

 

私がすべきことは、この「愛情物語」を批評することではなく、この映画の素晴らしさを語り継ぐことなのでしょうね。

是枝裕和の映画「歩いても 歩いても」を見た感想

久しぶりに是枝裕和監督の映画をGoogle Playで見ました。Google Playですと実に簡単に映画が見られるので、最近、ハマっています。あの黒澤明の映画も見られるので、驚きました。

 

さて、今回鑑賞したのは「歩いても歩いても」です。「誰も知らない」を映画館で見て以来なので、本当に是枝裕和監督の映画は久方ぶりです。「誰も知らない」が2004年「歩いても歩いても」が2008年の作品。

 

今回この作品を見ようと思ったのは、主演が阿部 寛で、その相手役が夏川結衣だったから。この二人が夫婦役を演じるのならば見てみたいと素直に反応しました。

 

30分を過ぎた頃、是枝映画独特の平板な物語進行に、いっしゅん挫折しそうになりました。その危機を過ぎると、最後まで鑑賞することができたのです。

 

もちろん、是枝監督はあえて山場を設けるとか、次々に事件を起こすとかして視聴者を飽きさせない仕かけを排除しているのですね。ゴンチチのギター演奏とマッチングした静かな映像は、淡々と進行します。

 

本当に、事件らしい事件はひとつも起きません。心理描写に抑揚がある程度です。

 

こういう演出は、よほど作品の質に自信がないとできませんよね。

 

是枝監督の他の作品と比べても、映画としての野心も感じられず、おとなしい作品に仕上がっています。

 

ただ、実家という狭い舞台に多くの人物が訪れて去ってゆく、その出入りが効果を上げていて、群像の描き方がうまいなぁと感じました。

 

その群像の中で、阿部 寛、夏川結衣に加え、樹木希林原田芳雄が、子供たちとの関わりの中で自らの存在感を表情豊かにあらわしていました。

 

群像劇であり、人間関係劇であるのですが、子供たちの動きが効いていて、目には見えない時の流れる表情さえも感じられてくる珍しい映画です。

 

そうした微妙な味わいがあるからこそ、最後で、鑑賞できたのだと思います。

堺雅人が主演した映画「鍵泥棒のメソッド」の感想

鍵泥棒のメソッド」という映画を、堺雅人が主演しているという理由だけで、DVDレンタルしてしまいました。かといって大して期待していたわけではないのですが、これがもう、ハンパないおもしろさで……

 

『鍵泥棒のメソッド』(かぎどろぼうのメソッド)は、内田けんじ監督の日本映画。2012年9月15日公開。

 

『鍵泥棒のメソッド』はこちらで視聴可能です

 

普通にレビューしてもつまらないので、この映画を一言(一つのキーワード)で表してみましょう。

 

おもしろい

 

とにかく、おもしろいんですね。寝転んで見ていたんですが、何度か、体がエビのように跳ね上がったくらいです。「おもしろさのツボ」をここまで絶妙におさえた映画を久しぶりに見ました。

 

ハイレベル

 

B級娯楽作品では、決してありません。脚本、演出、カメラワークなど、すべてが、ハイレベルなのです。

 

役者力

 

堺雅人香川照之(てるゆき)の演技力が秀逸。特に、香川照之が記憶を失い、取り戻すまでの演技は笑えるやら、感心するやで……とにかく、必見です。

 

それと、年齢を重ねても「アイドルっぽさ」が抜けないために、女優としてイマイチだと言われがちな広末涼子が、完全に「脱アイドル」をかなえてくれました。冴えない、婚活女性を演じ切り、逆に「味な可愛らしさ」とかもしだしていますよ。

 

低予算

 

とにかく、大掛かりなことは何もしていません。誰が見ても、低予算だとわかります。それなのに、この「質の高さ」を実現してしまっているのですから、讃嘆に値しますよね。

 

田中けんじ監督

 

監督が気になる、数少ない作品の一つ。この映画を見る前に「ダイ・ハード」の5作目を鑑賞したのですが、ここまでパターン化(マンネリ化)してしまうと、作り手の存在に全く関心がわきません。

 

逆に、この「鍵泥棒のメソッド」は「ここまで魅力あふれる映画を作る人はどんな人なのだろう?」と興味をおぼえ、他の田中けんじ監督作品も全部見てしまおうと思うのです。

 

最後に一言。邦画、侮りがたし!