風花未来の今日の詩は「しーちゃん」です。
しーちゃん
しーちゃん
なんて懐かしい
呼び名だろう
しーちゃんのことを
想い出せない歳月が
どれくらい
つづいてきただろうか
その少年は
詩ばかり書いているので
「詩いちゃん」と呼ばれ
いつからか
「しーちゃん」となった
「詩人」と
誰も呼ばなかったのは
少年と 少年の書く詩が
あまりに 幼すぎたのか
「詩人」と呼ぶのは
よそよそしいと感じて
詩を書く少年のことを
大人になってほしくない
ずっと 子供のままで
いてほしいと思ったからなのか
いやいや
そういうことではなくて
誰も しーちゃんの詩を
まともに 読んだことが
なかったからだろう
でも しーちゃんの「詩」は
小鳥たちに愛された
しーちゃんの肩にとまり
白いノートに
生み出されてゆく
「詩」らしい
言葉のつながりを
愛らしい さえずりで
朗読していた
しーちゃんに
もう一度 逢ってみたい
逢って 今度こそは
友だちになりたい
しーちゃん
そう 呼び続ければ
逢えるだろうか
しーちゃん