映画「続 警察日記」を見た。映画マニアを自称する私としては恥ずかしい。実は、この映画の存在を知らなかった。
もちろん「警察日記」は見ているし、DVDを買ったくらいである。
⇒警察日記
だが、「続 警察日記」という映画があることにも気づいていなかった。日本人として本当に恥ずべきである。
よくあるように、第二作はつまらない、ならば評価が低いために知名度が低いわかではないのだ。
私の率直な感想では、第一作よりも、この「続 警察日記」の方が優れているし、見ごたえ充分である。
それなのに、世間ではほとんど知られていないのではないだろうか。
こんな隠れ名作を鑑賞できて、私は幸運だった。
これも「アマゾンプライム」のおかげである。しかも、年会費内で視聴することができたい。
「続 警察日記」(ぞくけいさつにっき)は、1955年(昭和30年)11月16日公開の日本映画である。日活製作・配給。監督は久松静児。
私が生まれる前の映画である。しかし、こうした映像に、なぜか懐かしさを覚えた。日本人の遺伝子には、「続 警察日記」で描かれた風景と情景が組み込まれているのかもしれない。
特筆すべきは、役者たちの素晴らしさだ。昭和は役者の宝庫だとは、私がしばしば指摘するところである。
それにしても、芸達者ばかりで、一人ひとりの演技だけを見ていても飽きることがない。
前半までは、人情ものの群像劇ぐらいの映画だろうと高をくくっていたのだが、後半から物語はシリアスな方向に急展開を見せる。
役者たちの表情が転調し、役者一人ひとりが息をのむほどの輝きを放ち始めた。
主演女優は新珠美千代だが、汚れ役を演じ、この映画を心理劇としての価値を高めていたと言えるだろう。
新珠美千代は川島雄三監督の「洲崎パラダイス赤信号」で、その類まれな演技力を見せつけたが、この「続 警察日記」でも、微妙な心理の表現は卓越していた。
黒澤明監督の映画「赤ひげ」で好演した、二木てるみ。幼い二木てるみ、その顔のアップの絶妙なタイミング。それだけでも、この「続 警察日記」は映画史上に残るとさえ感じた。
これは、まさに隠れ名作である。
おそらくは、第一作の「警察日記」には、森繫久彌が主演しているために、有名になっているのだろう。第二作目の主演は伊藤雄之助だから、その差が出ているに違いないが、逆に特別目立つ主演俳優がいないために、出演者全員が助演俳優(あるいは脇役)という感じで、地味だが各々の役者の個性ある演技が光っていた。