山田洋次監督の「同胞(はらから)」という映画はこれまでに何回か見ています。

 

二三年から五六年に一度、無性に見たくなる不思議な映画です。

 

「同胞(はらから)」は、1975年に松竹が制作、同年10月25日に公開した日本映画。

 

監督は山田洋次。主演は倍賞千恵子寺尾聰

 

ご存じの通り、寺尾聡は宇野重吉の息子さんですが、親子ともに味のある役者ですね。

 

実際に起きた話を基にしており、モデルとなった劇団「統一劇場」(ふるさときゃらばん、現代座、希望舞台)が公演シーンを演じています。

 

モデル地・ロケ地は岩手県岩手郡松尾村(現・八幡平市)。

 

奇妙な言い方になりますが、数多い日本映画の中で、最もベタな作品を選べと言われたら、私はこの「同胞(はらから)」か「俺たちの交響楽朝間義隆監督作品)」を選ぶでしょうね。

 

農村を舞台に繰り広げられる、青春群像劇です。

 

展開がわかっていても、泣いてしまう。超ベタなのに、映画としての完成度が高いので、何回もの鑑賞にたえられるのです。

 

というか、山田洋次監督の「映画愛」に打たれてしまい、ついつい、最後まで見入ってしまう、貴重な映画だと言えます。

 

脇役として登場する渥美清、大滝秀治なども効いていて、脇役の演技を楽しむという映画の贅沢も味わえることも素晴らしい。

 

映画には洗練度も必要です、なくても困らないのが映画。ベタであっても、映画愛にあふれていれば、人は逃れられようもなく感動してしまう生物なのです。

 

これからも私は「同胞(はらから)」という映画を見続けるでしょう。