山田太一ドラマ「沿線地図」は「岸辺のアルバム」よりも面白い隠れ名作!?

山田太一ドラマ「沿線地図」を初めて観た。

 

U-NEXT(ユーネクスト)に登録して鑑賞したのだが、この「沿線地図」が見られるだけでも充分に登録の価値はあると感じた。

 

山田太一が脚本を担当した、いわゆる山田太一ドラマ「沿線地図」は、1979年に放送された。放送期間は1979年4月13日から同年7月20日まで、全15話である。

 

ドラマ「沿線地図」は、明らかに「岸辺のアルバム(1974年放送)」の流れをくむ、後継的作品である。

 

1970年代のドラマだが、「岸辺のアルバム」と違って、すぐさま感情移入できた。特に前半五話までの面白さは、数多い山田太一ドラマの中でも一番ではないだろうか。

 

高校生でありながら、家出した男女、広岡瞬真行寺君枝が主人公という設定だが、実は、家出され翻弄される二組の中年夫婦四人が主人公だと言っていい。

 

この二組の夫婦を演じたのが、河原崎長一郎岸恵子児玉清河内桃子である。

 

何といっても、この四人の演技力は、安定していて存分に楽しめた。

 

全編においてフランス人シンガーソングライターのフランソワーズ・アルディによる「もう森へなんか行かない」、「私の騎士 Si mi caballero」の二曲が挿入される。

 

この二曲の物憂げな曲調が、好景気な日本の陰鬱を象徴しているようで素晴らしい。

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人生で初めての五月~風花未来の詩78

今回の風花未来の詩は「人生で初めての五月」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

人生で初めての五月

 

ついに

街に待った

五月がやってきた

 

雲ひとつない晴天

新緑は一心に萌えている

 

私はというと

抗がん剤の副作用で

しびれまくった足を

引きずりながら

この森までやってきた

 

しびれいようがいまいが

五月は五月

青葉若葉の歓びの歌は

誰にも止められない

 

陽光と萌えいずる命の合唱は

私の心身の隅々までゆきわたり

癒し 力づけてくれる

 

いつしか

しびれは消え

新緑の輝きを

全身に浴びながら

私は

時を忘れて

その場に立ち尽くす

 

透きとおった風は

私の心

その奥の奥を

きらめきつつ

吹きすぎてゆく

 

私の過去のすべてが

いや 生まれる前の

時間の全部が

微粒子となって

風に乗り

輝いているようだ

 

人生で初の

そして最高の五月が

今 眼の前で

きらめき続けていると

強烈に確信できている

 

私は身動きもせず

私という存在が

このみずみずしい輝きに

完全に とけ込むまで

じっと 立ち尽くす

立ち尽くしている

真昼のカフェ・オレ~風花未来の詩77

今日の風花未来の詩は「真昼のカフェ・オレ」です。

 

  • 風花未来が、風花未来の詩について動画で語りましたので、ぜひとも、ご視聴ください。

 

⇒【動画】風花未来が自身の詩について激白!

 

真昼のカフェ・オレ

 

抗がん剤の副作用なのか

歯の茶色い着色がひどいので

コーヒーをやめることにした

 

その代わりに飲み始めたのが

カフェ・ラテだ

 

しかし

カフェ・ラテのない店もあるので

カフェ・オレをたのむこともある

 

今日 真昼の喫茶店で

注文したのは

あったかいカフェ・オレ

 

カフェ・オレは

カフェ・ラテのような

やわらかさはないし

ココアみたいな

癒される

濃い甘味もない

 

牛乳のほのかな丸みと

コーヒーの微かな香りの

ほどよい距離感は

さり気なく落ち着いているが

少し寂しい気もする

もっとべっとりとした

人なつこさが

ほしい時もあるから

 

いずれにせよ

カフェ・ラテ

カフェ・オレ

ココアは

一日に一杯だけと決めている

 

カフェ・ラテは真夜中に

カフェ・オレは真昼に

飲むのが基本になってしまった

 

手術の日までに

内臓脂肪を

減らさなければならないから

飲みすぎは禁物

 

そう考えると

少しわびしいが

目の前の一杯だけに

集中できるのだから

今日この時は

カフェ・オレの

ちょっと乾いた

知性のような味わいを

しずかに愉しみたい

 

 

以前には「カフェ・ラテ」という詩も書いていますので、よろしければお読みください。

 

「カフェ・ラテ」が登場する詩はこちら