久しぶりに詩集を購入しました。サトウハチローの詩集です。
今日ご紹介する詩は「母という字を書いてごらんなさい」です。
さっそく、引用してみましょう。
母という字を書いてごらんなさい
母という字を書いてごらんなさい
やさしいように見えて むずかしい字です
恰好のとれない字です
やせすぎたり 太りすぎたり ゆがんだり
泣きくずれたり……笑ってしまったり
お母さんにはないしょですが ほんとうです
文字や言葉そのものを詩にしてしまうことも、詩人の得意技の一つで言えるでしょう。
サトウハチローは「母」という一文字を物の見事に詩にしてしまった。
ユーモアがあり、哀歓があり、母親への愛情もそこはかとなく伝わってきます。
最後の一行には意外性があり、この一行が書けることが作家としての「豊かさ」を示していると私には感じられました。
私は常日ごろから「漢字一文字の世界」に惹かれる傾向がありまして、記事にしたことがあります。
また、サトウハチローの詩は何回か取り上げています。