はなむけ」も、間違えやすい日本語の一つです。

 

では、以下の例文をお読みください。

 

 

10年前、私が入社式で社長からいただいた、はなむけの言葉が今も忘れられません。

 

 

「はなむけ」の使い方は、これで正しいでしょぅか? それとも間違っているでしょうか?

 

結論から申しますと、「はなむけ」を「歓迎」の意味で使うのは間違いです。

 

「はなむけ」の「はな」を「花」とか「華」を連想するため、「はなむけ」という言葉を、お祝いの時に使う言葉だと勘違いしてしまうからでしょう。

 

「はなむけ」の語源を知ると、間違えなくなります。

 

「はなむけ」は「馬の鼻向け」という言葉が略されて、広く使われるようになった言葉なのです。

 

「馬の鼻向け」は、旅に出る人の安全を祈って、出発時にその人の乗馬の鼻を行き先の方に向けた習慣から生まれた言葉だということを知れば、「はなむけ」を歓迎の意味で使うことはなくなるでしょう。

 

これで「はなむけ」は歓迎会では使うの不適切であると認識できます。

 

「はなむけ」は門出に際し、祝福や激励の気持ちを込めて贈る、挨拶の言葉、金品、詩歌などを指すのです。

 

現在では、「餞別(せんべつ)」の「餞」の字をあてて「はなむけ」と読みます。

 

「餞別」は別れの時に贈るものですから、「はなむけ」は送別の時に使う言葉となっているわけです。

 

では、「結婚式」で「はなむけ」という言葉を使ってもいいのでしょうか?

 

「結婚」も新しい旅立ちを意味しますので、「はなむけの言葉」という言葉を「あらたな門出を祝う気持ちを込めた挨拶」という意味で使うのならば問題にはならないと思います。

 

しかし、「はなむけ」は本来、別れの時に使う言葉であることを認識した上で、慎重に使うべきでしょう。

 

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