先日、石川啄木の歌集を繰り返し読んでいるうちに、啄木が異性について歌った短歌(恋愛短歌)に、啄木の独自性が色濃く出ていると感じました。
そこで、今回は、石川啄木の恋愛短歌(恋の歌)を集めてみました。
頬につたふ
なみだのごわず
一握(いちあく)の砂を示しし人を忘れず
砂山の砂に腹這ひ
初恋の
いたみを遠くおもひ出づる日
やはらかに積もれる雪に
熱てる頬を埋むるごとき
恋してみたし
わがために
なやめる魂(たま)をしづめよと
讃美歌うたふ人ありしかな
己(おの)が名をほのかに呼びて
涙せし
十四の春にかへる術なし
世の中の明るさのみを吸ふごとき
黒き瞳の
今も目にあり
かの時に言ひそびれたる
大切の言葉は今も
胸にのこれど
ふるさとの
麦のかをりを懐かしむ
女の眉(まゆ)にこころひかれき
以上はすべて「一握の砂」から選びました。また、良い短歌が見つかったら追加してまいります。
恋愛を含まない短歌の傑作選は、こちらをご覧ください⇒石川啄木の歌集「一握の砂」の名作
世の中の明るさのみを吸ふごとき
黒き瞳の
今も日にあり
とありますが
今も「目」にあり
かと思います。
ご指摘ありがとうございます。「目にあり」と修正いたしました。今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。