映画「若い傾斜」は硬質な人間関係劇。浅丘ルリ子と清水まゆみが珠玉

西河克己監督は、1959年には以下の5本の映画を撮っている。

 

不道徳教育講座
絞首台の下に
若い傾斜
風のある道
無言の乱斗

 

今日ご紹介するのは「若い傾斜」である。

 

日活が青春路線に舵を切る前だから、硬質な人間劇が楽しめる。

 

川地民夫・浅丘ルリ子・清水まゆみ・赤木圭一郎のカルテットが鮮やかに光り輝いている。

 

脇役の俳優も芸達者ぞろいで、作品として締まっている。

 

それにしても、西河克己監督の力量は大したものだ。商業主義にどっぷり浸かって、大量に映画を生み出したが、作品の随所にセンスの良さが光っている。

映画「十一人の侍」は「集団抗争時代劇」の代表作

十一人の侍」という映画をご存じだろうか。1967年に東映京都撮影所が製作し、東映が配給している。

 

監督は、工藤栄一。主演は、夏八木勲

 

工藤栄一は大衆向けの娯楽作品を数多く手がけている。テレビの人気番組「必殺シリーズ」にもかかわった。作品として最も評価の高い「必殺仕置人」の演出を担当。

 

「十一人の侍」は、まだ時代劇ファンがたくさんいた頃の作品だ。新しいスタイルの時代劇として案出された「集団抗争時代劇」の代表作とされている。

 

工藤栄一が撮った「集団構想時代劇」には、この他、「十三人の刺客」(1963年)、「大殺陣」(1964年)がある。

 

「十三人の刺客」「大殺人」「十一人の侍」は、ほぼ同じ映画だと言っていいくらい、物語の設定も展開も結末も、すべて酷似している。

 

それにしても、時代劇の層の厚さは、質量ともに素晴らしいものがあった。

 

現代はどうだろう。2022年、まさかこれほどまでに時代劇が衰退するとは、1967年当時は誰も予想しなかったのではないか。

 

インターネットやスマホの普及で、わたしたち日本人の生活スタイルも一変した。

 

これからの日本に時代劇など必要ない、などと考えるだけで、気分が沈みこんでくる。

 

今の日本ほど、古き良きものを大事にしない国はないのではないか。

 

私は決して時代劇のファンではない。ただ、日本に時代劇を愛する人たちが一定程度はいてほしいと切に願っている。

 

「十一人の侍」は、傑作と呼ぶには何かが足りない気はした。しかし、最後まで充分に楽しめるエンターテインメントにはなっている。エンタメ作品としては良質の部類に入ると思う。

三好達治と金子みすゞの人気が半端ない理由とは?

少し前まで、私のこのブログにたくさんのアクセスが来ていました。これは凄い、ようやく、この世知辛い社会でも、詩のブームが訪れたのかと、小躍りしそうなほど歓んだのです。

 

特に、三好達治金子みすゞの詩へのアクセスが半端なかったのです。

 

今年の1月の月間ページビュー(PV)数は、306,094でした。つまり、1日平均1万PV以上あったことになります。

 

ところが、今月になってその勢いは減退し、先月の半分くらいになりそうです。

 

理由は、三好達治と金子みすゞのブームが起きたわけでなく、この二人の詩人がテレビで紹介されたからです。

 

だとすると、ただのメディア効果だと言えるのかもしれません。

 

ですが、メディアに取り上げられたことだけでも大変なもので、現代において、詩への渇望は高まっているのも確かでしょう。

 

一方で、ふっと寂しくなりました。私のメディアである、ブログの力は微々たるもので、テレビの立てた大波が私のところまで打ち寄せてきただけだと思ってしまうから。

 

でも、やめるわけにはゆきません。決して諦めずに、継続は力なり、と自分に言い聞かせ、ブログの更新に努めようと自分を励ましているところです。

 

三好達治の詩はこちらに

 

金子みすゞの詩はこちらに