この映画、いいです。最近見た映画の中で特に良かった。素直にオススメできます。

 

映画「先生と迷い猫」は、木附千晶(きづちちあき)が書いたノンフィクション「迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生の物語」を原案に制作され、 2015年10月10日に劇場公開されました。

 

かなり新しい映画ですね。新しい邦画にはあまり期待していなかったのですが、最近、新しめの映画をアマゾンプライムで見ていて、レベルが上がってきたと感じています。

 

もちろん、面白そうな作品しか見ていないわけですが、中でも、この「先生と迷い猫」は、断トツの水準に達していると驚きました。

 

では、どうして、私はこの「先生と迷い猫」に、これほどまで心を揺り動かされたのでしょうか。

田舎の野良猫と引退した校長先生とその周辺の人々の話。

 

映画の質が違う。これまで見てきた映画と、空気感が違う、時間の流れが違う、映像の光と色が違っている……。

 

予告編は以下で見られます。

 

 

東京近郊に長いこと住んでいると、こういう地域に流れる時、人々の息づかい、緑と水と空の色彩と薫りを完全に日常では忘れており、ふだんは憧れさえも抱けないで暮らしている。

 

ところが、この映画「先生と迷い猫」を見ると、忘れかけた人々がそこにいる、忘れてしまっていた止まったような時の音さえも聴こえてくる。

 

こういう記憶を回復させることも、映画の大きな力だし、役割のひとつといっていいのではないでしょうか。

 

最近、猫を飼いたい衝動にかかれる時があり、こういう映画を見てしまうと、気持ちが揺さぶられてしまいます。

 

お金に振り回されない、ゆるやかな時間の中で、欲望をおさえ、助け合って暮らせる社会への転換」を目指してゆこうと思っているのですが、この映画の世界はそれに近い(通じるものがある)ような気がします。

 

こうした、ゆるやかな時間の中で、詩の世界に浸れたら、どんなに良いだろうか。

 

それにしても、主演のイッセー尾形は素晴らしい。この役を笠智衆が演じたらと考えると、イッセー尾形で良かったと思いますね。

 

他の出演者では、バス停で猫と逢う女子高生役の女の子が印象に残りました。透明感がすごいですね。

 

この人以外には、この役の適任はいないでしょう。

 

監督は深川栄洋(ふかがわ よしひろ)。「60歳のラブレター」「神様のカルテ」などが代表作らしい。

 

1976年生まれですから、まだまだ若いですよね。今後にも期待したいところです。

 

ただ、この映画のラストですが、この終わり方でいいのかな? 唐突でしたが、その方が、猫の周辺の人の心理模様が記憶に残るので、この方が良いのでしょうか。

 

ひょっとして、原作も読んでほしい、ということなのかな?