新藤兼人監督の映画について語ってゆこうと思っているのですが、新藤映画のアンソロジーDVDを購入し、それを見てご紹介することにしました。
昨日鑑賞したのが「縮図」です。
前回ご紹介したのが「原爆の子」でしたよね⇒新藤兼人の「原爆の子」レビュー
前作があまりにも感動的であったので、私としては、少し戸惑いました。
おそらくは、新藤監督としては、この「縮図」を撮った理由は、取り上げずにはおれないテーマがあり、それを表現したかったためだと思われます。
映画作品としては、成功とまではいっていないと感じたのですが、新藤監督はこのテーマをどうしても扱いたかったのだなと思えば、それはそれで納得がいきます。
そのテーマとは「人身売買」です。
「原爆の子」とテーマは変わりましたが、表現手法は似ています。
貧困にあえぐ生活環境の中で、人間はどう生きるのか、また、どのように生きるべきなのか、そういうことを、お説教臭く語るのではなく、モノクロームの美しい映像でもって、静かに伝えているところに好感が持てます。
また、そいういう抑制の効いた表現が、作品としての寿命を長くしているのではないでしょうか。