吉野弘の詩「争う」を「ふぞろいの林檎たち」で手塚理美が朗読した件

読みたい時に、本はなし。こんな辛い思いを何回繰り返せば良いのでしょうか。

 

前回の記事「二人が睦まじくいるためには(吉野弘「祝婚歌」)」で、少し触れた吉野弘の詩のタイトルが判明しました。「争う」です。

 

【動画】(朗読)吉野弘「争う」

 

この詩は、私の持っている「続・吉野弘詩集 (現代詩文庫)に収められているはずです。上の詩「争う」を読みたくて、買った記憶がありますから。

 

しかし、先ほどから探しているのに、この詩集が見つかりません。 この記事の続きを読む

戸川幸夫「爪王」を読んでみてください。

もう紙の本は買うまいと誓ったのですが、どうしても気になったので、戸川幸夫の「爪王(つめおう)」をアマゾンで注文してしまいました。

 

高安犬物語,爪王 (地球人ライブラリー 5)

本が届いたので、さっそく、読了。

 

感想は一言に尽きます。「ぜひ、この小説を読んでください」、そう叫びたい。

 

鷹匠との交流を描いているのですが、特筆すべきは、現代文学が、いや、現代社会が忘れ去ろうとしている極めて大事な真実が、活写されていることです。

 

この小説の中に込められた、感傷を排した深い運命愛に、魂レベルで共振できた、そのことに感謝したい。

 

緊張感のある文体は研ぎ澄まされ、鋭利な刃物をほうふつとさせるとともに、時おり挿入される自然描写は、神々しいまでに輝いていました。

 

描写に感傷という名の曇りがなく、厳しい自然界の掟(おきて)をリアルに映し出している、同時に、背後に生命愛が伏流水のようにあふれているからこそ、「爪王」の世界を、人は愛おしく感じるのでしょう。

 

この本には、読みやすくするために、豊富な注釈がつけられています。この得難い名作を読み継ぎ、語り継いでゆくための定本と呼んで良いかと思います。

 

「爪王」にある、厳しい修練、無言の愛から、明日への希望を見い出せる予感がする、そう言いたい気持ちを、おさえかねているところです。

どうしても断捨離できない文庫本リスト

前回の記事「もう一度、読まずには死ねない名著は?」で、「これがないと生きていけないというような本はなかった」と書きました。

 

しかし、捨てがたい名作は多く、結局のところ、ある程度の冊数は、新居に持って行くことになりそうです。しかし、できるかぎり、絞り込みたいので、そこはバッサリと切り捨てますよ。

 

現在、キーボードの横に、何冊か、捨てがたいと感じる文庫本を積み上げてあるので、ご紹介しましょう。

 

植草圭之助「冬の花 悠子

 

吉川英治「草思堂随筆

 

東山魁夷「風景との対話

 

木村久迩典「素顔の山本周五郎

 

室生犀星「我が愛する詩人の伝記

 

どうしても他人に奨めたくなる名作というよりも、自分の思い入れの強さから、捨てられないのです。

 

かといって駄作は一つもないのですが、その多くは現在、絶版になっているようです。

 

ただ、古本でなら、手に入れることは可能なので、興味を持った方は、ネットで検索してみてください。