愛語(あいご)」という言葉をご存知でしょうか。日常ではほとんど使われていませんが、意味を知ると、その美しさゆえに、日ごろから使いたくなる、極めて貴重な言葉です。

 

愛語とは、仏教から来た言葉です。亀井勝一郎氏は「愛語」を「私をささえた一言」として、すすめています。

 

大辞林は「愛語」を「仏道に導くため、親しみの気持ちを抱くような心のこもった言葉をかけること」と説明。

 

仏教から離れ、私たちの日常生活で「愛語」はどんな言葉かと言いますと、意図的ではなく、「おだいじに」とか、「ごきげんいかがですか」とか、「ごくろうさん」とか、心がこもっているがゆえに、ごく自然に出てきた言葉なのです。

 

「愛語」と単独ではなかなか使われませんが、「和顔愛語」という四字熟語ならば知っている人が多いのではないでしょうか。

 

⇒「和顔愛語」についてはこちらに

 

亀井勝一郎氏は次のように「美しい言葉」について、述べています。

 

私は人間の使うことばの中で最も美しいことばは、ひとをいたわることばだと思っている。

 

確かに、人をいたわり、自然と口から出る言葉は、美しいですね。その言葉が独立して美しいということではなく、愛情をこめて話された時に、その言葉は輝くのだと思います。

 

NHKの「美しい言葉」アンケートの結果、上位を占めたのは、ほとんどが「あいさつ言葉」でした。それらは、心を込めて使われる時、まさに「愛語」としての美しさを放つからなのでしょう。

 

ともすれば、人間関係がぎくしゃくしがちな現代。ふだんから、愛語を使う練習、つまり、心を込めて言葉を使うように心がければ、かなり人間関係は改善されるのではないでしょうか。