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カテゴリー:ヒッチコック

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映画「疑惑の影」~ヒッチコック監督

ヒッチコック

YouTubeで見た淀川長治さんの解説に惹かれて、ヒッチコック映画の「疑惑の影」を見た。

 

「疑惑の影」(原題: Shadow of a Doubt)は、1943年のアメリカ映画。

 

初めは吹き替え版を見かけたのだが、吹き替えがあまりにも棒読みすぎて雰囲気に欠けたので、字幕版に切り替えた。

 

悪役のジョセフ・コットンは初めて見た。テレサ・ライトは好きな女優だ。

 

もしも、主演女優がテレサ・ライトでなかったら、途中で挫折したかもしれない。

 

名匠のヒッチコックといえども、初期作品には駄作めいたものもないではない。

 

もちろん「疑惑の影」は駄作ではない。しかし、もうひと工夫、ふた工夫ほしい映画であることは間違いない。

 

ヒッチコックには思想とか、人間愛とかは基本ありはしない。サスペンスの演出、謎の提示と謎解き、ラストを読ませない構成などが完璧でないと、見終わった後、何も残らないという危険視をはらんでいる。

 

映画作品としては、同時期に作られた「レベッカ」の方が上である。

ヒッチコック映画「断崖」はジョーン・フォンテインの一人芝居?

ヒッチコック

久しぶりにヒッチコック映画を見た。「断崖」。

 

「断崖」(だんがい、Suspicion)は、1941年に公開されたアメリカ映画。

 

ヒッチコックの初期作品なので、作品としての完成度は高くはない。

 

しかし、主演女優のジョーン・フォンテインは際立っている。アカデミー主演女優賞を受賞したのも素直にうなずけた。

 

ジョーン・フォンテインが際立っているという意味は、女優としての演技力はもちろんだが、その存在が人というよりも心理を持つ人形のような非現実的な美しさにまで到達していた。これは凄いことだ。

 

本来は役回りとして、ほとんど同列に論じなければならないケーリー・グラントが、すっかりかすんでしまった。単なる、ジョーン・フォンテインの引き立て役にすぎないと言ったら、ケーリー・グラントのファンの方には怒られるだろうか。

 

ジョーン・フォンテインは、夫の行動に疑問を持ち、最後は自分が殺されると思い込む。

 

一人相撲をとっている、その心理のエスカレートがたまらなく美しい。

 

その意味で、この映画は、ジョーン・フォンテインの一人芝居と呼びたいと、私は思っている。

 

妻の恐怖心がテーマになっている名作映画に「ガス燈」がある。

 

⇒映画「ガス燈」でイングリッド・バーグマンが迫真の演技を披露。

 

作品としては「ガス燈」の方が上だが、ジョーン・フォンテーヌの存在感は、イングリッド・バーグマンに負けていない。

ヒッチコックの映画「ダイヤルMを廻せ」を見た感想。

ヒッチコック

ヒッチコック監督の「ダイヤルMを廻せ」を久しぶりに見ました。今回で2回目です。

 

最初に見た時の衝撃があまりにも大きかったので、その後は、同じテンションになれる時を待とうを思い、これまで鑑賞できませんでした。

 

何年ぶりかで見て、素晴らしい映画だと再び感心しました。 続きを読む

ヒッチコック「北北西に進路をとれ」を見た感想

外国の映画・ドラマ - ヒッチコック

アルフレッド・ヒッチコックの映画はほとんどすべて見ているはずですが、なぜか、この「北北西に進路をとれ」は未見でした。

これはヒッチコック異色作です。他のヒッチコック映画と根本的に何かが違っていますが、それは何なのでしょうか。

今回鑑賞してみて感じたことは、ケーリー・グラントはヒッチコック映画には似合わないということ。

ヒッチコックの映画には美女は欠かせないけれども、美男は不要のような気がしたのでした。

長身で美男のケーリーグラントは、古いメロドラマには合うかもしれないけれど、ヒッチコックの世界では切れが鈍いですね。

ケーリー・グラントの相手役を演じたエヴァ・マリー・セイントは美しいけれども、グレース・ケリー、キム・ノヴァク、ティッピー・ヘドレンなど、ヒッチコック映画を鮮やかに彩った美女たちと比べると、どうしても地味に感じてしまうのですね。

エヴァ・マリー・セイントはミステリアスですし、充分に魅力的なのですが、ケーリー・グラントのせいでトーンダウンしていまっているように思えてなりません。

ケーリー・グラントが出てしまったことで、ヒッチコックの文法はすでに崩れているのです。

ラストはヒッチコック映画には珍しいハッピーエンドになってしまったのも、配役とも関連しているのではないでしょうか。

ヒッチコック映画に出演した美男俳優は他にもいます。「マーニー」で好演したショーン・コネリーは良かった。ただ、ショーン・コネリーケーリー・グラントのような典型的な美男ではなく、大根役者でもありませんでした(笑)。

物語設定も違います。やはり、ヒッチコック映画では、一方的に男の方が美女を愛してしまうという設定の方が、らしくなりますね。

ケーリー・グラントを本気で愛してしまったエヴァ・マリー・セイントは興ざめです。さらにハッピーエンドになってしまっては、もうヒッチコック映画ではないといっても過言ではありません。

相思相愛は、ヒッチコック映画では非常に珍しいので新鮮で、そこそこ楽しめたのでしたが、ただそれだけの作品でした。