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黒澤明の映画で繰り返し鑑賞したい名作7選


先日、黒澤明監督の映画「生きものの記録」を見て、複雑な気持ちになりました。

これは明らかに失敗作です。黒澤明の作品を見たことがなくて、最初にこの「生きものの記録」を鑑賞した人は、とんでもない誤解をしてしまうことでしょう。

「何? これが世界のクロサワと呼ばれる巨匠の作品か? やはり、古い映画はつまらない……」などと感じてしまってもらったら、困るのです。

黒澤明の映画は、すべてが名作というわけではありません。駄作というか、映画作品として失敗しているものが少なくないので、もし、あなたがまだ黒澤明の映画を見たことがないのでしたら、まじは、ハズレなしの名作中の名作から鑑賞していただきたいのです。

もちろん私は、黒澤明の全作品を見ています。その中で、文句なしに名画と評価できる作品を7作選んでみました。

1)羅生門

光の影の描き方が印象的な緊張感あふれる映像美。映像感覚の冴えが、人間の心理を鮮烈に描き出す、黒澤映画の最高峰。

2)七人の侍

七人の侍の一人ひとりの際立った人物造形、味わい深いセリフまわし、物語の設定と展開の面白さ、躍動的な数々の名シーンなどなど、映画の魅力をふんだんに盛り込んだ古典的名作。

3)天国と地獄

黒澤明は時代劇に名作が多いのですが、この「天国と地獄」は現代劇の最高傑作。骨太な人間ドラマをサスペンスの手法で描いているので、時間を忘れて映像に没入できます。

4)赤ひげ

重厚な人間ドラマが、たっぷりと楽しめる名作。三船敏郎が演じた「赤ひげ」は、この映画によって、永遠不滅の魅力を持つキャラクターとなりました。

5)悪い奴ほどよく眠る

ギリギリの緊張感が描き出される、硬派な社会派サスペンス。作品の純度が高いため、エンターテイメントでありながら、芸術的な香りさえ漂う名作。

6)用心棒

娯楽映画として理屈ぬきに楽しめる傑作時代劇です。映画って、こんなに面白いんだ、と感じることができます。

7)椿三十郎

「用心棒」の続編。前作以上に楽しめる、エンターテインメントの傑作。

悪い奴ほどよく眠る」の代わりに「隠し砦の三悪人」を推す人も多いでしょう。それは間違った評価ではありませんが、現代劇が少ないので、あえて現代劇である「悪い奴ほどよく眠る」を推奨いたします。

本来ならば現代劇の最高傑作として「生きる」をあげたいところですが、演出が極端すぎて感情移入できない人も多いのではないかと推測し、ここには入れませんでした。黒澤ファンならば熱愛している人が多い名画ですので、上記の7作を鑑賞した後に「生きる」はご覧ください。

個人的には「白痴」が好きなのですが、ドストエフスキーの原作を読んでいないと面白くないかもしれません。興行の都合で無理やり短く編集されているので、流れに不自然なところがあります。

ただ、作品としての純粋さは、黒澤映画の中でも頭抜けており、映画史上に残る作品であることは間違いありません。

また初期の名作として「醉いどれ天使(1947年)」と「野良犬(1948年)」も、ぜひ見てほしいと思います。いずれも、戦後のどさくさの雰囲気が生々しく描かれており、戦後風俗の濃厚な空気感が味わえるという意味でも貴重なフィルムです。

黒澤明の映画は、まずは上記の10~11作を見ることをオススメします。その前に他の作品を見てしまうと、落胆されるかもしれません。

「赤ひげ」は1965年の作品ですが、それ以降は、黒澤明の独りよがり的な要素が強くなり、映画としての完成度は下がってゆきます。黒澤明のカラー作品は、どぎつい色調が特徴となっていますが、現実離れした色使いが目立ちすぎ、映画作品としての質を下げていると感じるのは私だけでしょうか。

黒澤映画に失敗作が多いのは、黒澤明の思い入れの強さが空回りする場合があり、そういう時は、作品としてのバランスが崩れ、作者と視聴者との間に溝が生まれてしまうからです。

繰り返しますが、黒澤映画になじんでいない人は、この記事内であげた11作の中から選んで鑑賞してください。

美しい日本語で書かれた作品をまとめました。


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