「あなたまかせ」を漢字で書く時、誤った表記をしてしまう人が少なくありません。
「あなたまかせ」は、他人に頼って、すべてその人に任せてしまい、自分では何もしないことを意味する表現です。
「あなたまかせ」の「まかせ」は、他人に任せるわけですから、間違うことは少ないでしょう。
問題は「あなたまかせ」の「あなた」です。
「貴女」「貴男」と書くのは間違いです。「貴方」を認める辞書もありますが、正しいのは「彼方」です。
「彼方」と正しく書くためには「あなた」の意味を知ることが肝心。
「あなたまかせ」の「あなた」は、あちら、向こうの意味なのです。「あちら、向こう」という意味なら、当然「彼方」が正しいとわかりますよね。
「あなた」の意味を正しく理解すれば、「貴女」「貴男」と間違えることはないでしょう。
ただし、「貴方」には「あちらの方」という意味もあるため、辞書によっては「貴方」という表記を認めているのです。
また「あなたまかせ」には仏教用語でることも、知っておくべきでしょう。
「あなたまかせ」には「阿弥陀の誓願にまかせること」という意味もあるのです。
「あなたまかせ」の語源は、仏教の「他力本願」に由来。阿弥陀如来の力にすべてをまかせる、というのが由来で「あなた」は「あちら、むこうのほう=人の手の届かぬ浄土にいる阿弥陀如来」を指した言葉であるともいわれます。
繰り返します。「あなたまかせ」は「彼方任せ」と書くのが正しい。「貴方任せ」は許容範囲ですが、「貴女」「貴男」は明らかな間違いです。