- 投稿 2019/05/27更新 2019/06/06
- 文章の書き方 - 文章の書き方講座
読んだ本について書く場合、いろんなスタンスがあります。
「感想」「書評」「ブックレビュー」、この3つの書き方は、それぞれ違うのです。
【感想】
「感想」は、自分が読んだ本について、忘れないためのメモという性質があり、感想を書くことで、自分で確認する意味が強いかと思います。つまり、メインの読者は自分自身なのです。
【書評】
「書評」は、その本を正当に評価するという社会的な意味がまずあります。
朝日新聞の論説主幹であった笠信太郎(りゅう しんたろう)氏が、書評について、以下のように定義していることに注目してください。
さきに読んだものが、まだその本をよんでいないものに話してきかせることである。
さすが、ものの見事な定義ですね。この定義を読んでわかるのは、書評のメインの読者は「まだその本をよんでいないもの」だということ。書評は、自分に向かって書くものではないのです。
著者と評者との対話ではなく、評者と読者との対話が「書評」という表現形式だと言えるでしょう。
「週刊朝日」元編集長である扇谷正造(おうぎや しょうぞう)氏は、書評において大切なことは、以下の3点だと語っています。
1)本の評価をあやまらないこと。
2)内容をわかりやすくダイジェストすること。
3)その結果(ああ、何か一つトクをした)と感じさせること。
たった3つのポイントですが、かなり深い意味を含んでいるようです。
本の評価を間違えないためには、相当にふだんから勉強している必要があります。
わかりやすく伝えることが実は非常に難しい。「ある事柄をよく理解したもののみが、平易にそれを説明することができる」という言葉がフランスにあります。わかりやすく説明するには、物事の本質を理解していることが前提となるのです。
厳しく言うならば、その本の核心を理解しなければ、決して、わかりやすく説明できない、つまり、良い書評は書けないことになります。
そして、読者にトクをしたと感じさせるには、独自の視点、新たな価値の付与など、筆者の文章力ならぬ人間力が必要となることは言うまでもありません。