今日の風花未来の詩は「なぜ、今さら、隠れんぼ?」です。

 

なぜ、今さら、隠れんぼ?

 

一日中

隠れんぼと

鬼ごっこをしている

しかも、たった一人で

 

なぜ、今?

どうして、一人で?

 

新たな抗がん剤のせいで

意識がもうろうとしていて

自分自身が

ふわふわになり

ぼんやり ぼやけて

本当の自分を

つかもとしても

スルリと逃げられてしまい

つかまえられない

 

わたしの影たちは

輪舞を踊りながら

わたしを 鬼と

あざ笑っている

 

ほんとの わたしは

どこに行った?

 

抗がん剤をやめれば

わたしは見つかるだろうか

ほんとに自分を

つかまえられるだろうか

 

いやいや

さんざん悩みぬいて

決めた 抗がん剤投与の再開

 

だから

劇薬を体に注入しながら

確かな わたし

ずっと前から

成りたかった わたしを

見つけなくてはいけない

 

その道は

深く暗い森に通じている

茨だらけの道でも

前に 進みたい

わたしの中の鬼と

決別するために

 

こうなったら

 

焦らない

 

もがかない

 

急がない

 

眼を閉じ

新しい風と光が

感じられるまで

 

待っているしかないだろう

 

鬼から

ほんとに わたしに

戻るために