抗がん剤の副作用という嵐が吹き荒れる中で

●2回目の抗がん剤投与が行われたのが、1月7日でした。

 

今日は1月14日なのですが、いまだに、ほぼ寝たきりです。

 

今も寒気がしているので、短めにまとめようと思います。

 

ただ死なないために、抗がん剤投与をしていても意味がありません。

 

副作用は薬が蓄積されてゆくので、弱くなることはなく、次第に強まるばかりだと説明を受けています。

 

正直、このまま継続は、とても無理なので、主治医には、次の投与予定である1月21日に相談するつもりです。

 

辛い副作用に耐えるのは、癌細胞の増殖をおさえる、転移を防ぐ、ひょっとすると、
癌が少なくなる、あるいは奇跡的に消える、そういうことを期待すればこそですが……。

 

心が疲れ、物事を前向きにとらえられなくなり、暗く沈み込むのであれば、回復の見込みはないと感じています。

 

ただ、安易に、この辛さから逃げるつもりもありませんが……

 

自分を、他者を、この世界全体を、愛せなくなるようなら、「まどか愛」を発動できないようなら、抗がん剤投与は終了したいですね。

 

まどか愛

「まどか愛」とは

 

抗がん剤は体だけでなく、心を壊そうとすることを、風花は今日も体験しているのです。

 

●風花未来は前向きに生きようとしています。

 

生きている証しとして、今は「詩」を書いています。

 

抗がん剤投与の副作用の辛さを詩にしたのが、これです↓

天使が消えた夜~風花未来の詩35

 

その他の詩は、こちらにまとめました↓

風花未来の詩一覧

 

●今、風花未来の願いは?

 

今日は快晴でした。

でも、体が重くて寒気をしたので、散歩には行けませんでした。

 

晴れた日には散歩、これが風花未来の今の願いです。

 

寒い日が続きますので、どうか、ご自愛ください。

 

それでは、またお逢いしましょう。

映画「清作の妻」、3度目の鑑賞で気づいたこと

増村保造監督の代表作「清作の妻(せいさくのつま)」を鑑賞した。これで3度目である。

 

映画「清作の妻」はこちらで鑑賞できます

 

凄まじい、若尾文子の演技は日本映画史上に残ることは間違いあるまい。

 

すでにこのブログでは「清作の妻」をレビューしている。

 

映画「清作の妻」は増村保造の最高傑作か。

 

今回の鑑賞で得た、新たな気づきについて書いてみたい。

 

増村保造の美学をギリギリまで突き詰めた傑作と呼びたい。

 

サディズムとマゾヒズムが混交した、増村独特のフェチズムが躍動している。

 

ブラック&ホワイトの映像が、重苦しくも美しい。

 

黒はあくまで黒く、塗りつぶしたような黒が、この映画に底流する、人間の懊悩をシンボライズしている。

 

やられた。してやられた、増村保造監督に。

 

これほどまでに、若尾文子という映画女優の至宝を、思いのままに操り、自らの美学を探求した映画監督は、他にはいない。

 

ここには、道徳はない、すさまじい生き方があるだけだ。

 

苛烈。若尾文子が演じた主人公、その生き方は、暴力そのものだとも言える。

 

激しく、すべてを超越して、命がけで愛を貫こうとしたヒロインは、あまりにも稀有だが、このヒロインの生きざまを否定できる者はいないのではないだろうか。

 

 

木下恵介アワー「記念樹」は、日本の人間ドラマの原点だ。

テレビドラマの「記念樹」は、TBS系列の「木下恵介劇場」にて放送された。いわゆる「木下恵介アワー」である。

 

1966年4月5日から1967年2月14日まで、46回にわたって放送された。1話の長さは約30分。

 

企画は木下恵介。脚本は木下恵介、山田太一。

 

主演は馬淵晴子

 

馬淵晴子は顔を見たことがある程度で、ほとんど知らない。私の幼い頃の記憶の片隅に、幻のように存在しているだけである。

 

知的で落ち着いた昭和女性の典型といえるだろうか。昔の「綺麗なお姉さん」、懐かしい女性像が香り立つようだ。

 

物語設定が実に良い。孤児院(養護施設)の先生と生徒が15年ぶりに再会する。毎回1話完結なので楽しみやすい。

 

で、私は何を言おうとしているのだろう。

 

「記念樹」は、紛れもない人間ドラマだ。

 

現在は、極端な視聴率至上主義であり、良質なドラマは放送されにくい。じっくりと腰を据えて、人間を描き出すドラマは、数字が稼げないので、私たちはもう「記念樹」のような温かい人間愛が息づく、質の高いドラマは見られないかもしれない。

 

だから、DVDで鑑賞できるようになった「記念樹」は、きわめて貴重であり、日本の文化遺産といっても過言ではあるまい。

 

木下恵介生誕100年 木下恵介アワー「記念樹」DVD-BOX<9枚組>

 

私は日本の人間ドラマの原点として、繰り返し、この「記念樹」を鑑賞してゆきたい。

 

だが、残念ながら、今の私には「記念樹」のDVDを購入する経済力がない。

 

そのため、YouTubeで観ている。

 

記念樹 第6話

 

例えば、平成生まれの人は、このドラマを観て、何を感じるのだろうか。

 

昭和の時代を知らない人にとって、山田太一ドラマでさえ、受け入れがたいかもしれないのに、木下恵介ドラマには山田太一のようなヒネリもスパイスもない、これでは刺激がなさすぎて、何も反応せずにスルーしてしまうのではないか。

 

いや、ツイストもしない、手っ取り早い刺激は排除して、天然の出汁をとって味付けした、オーガニックな木下恵介アワーのほうが、現代人の覚醒を促す力があるかもしれない、と密かに期待している。

 

それにしても、たったの30分弱で、人を号泣させる木下恵介の手腕には、舌を巻くしかない。

 

ところで最後に、ドラマ「記念樹」を観ると、なぜ泣けてしまうのかについて、語りたい

 

現代は、人が人らしくあるための基本が失われている。本来「当たり前のこと」が、軽視され、人間としてどうでもいい、むしろ害悪があることで人民をコントロールするビジネスが横行している。

 

お金にならないものは軽視する、これは資本主義の病理、拝金主義の弊害にほかならないが、ここまで人間性を軽視する世の中になってしまったら、昔のこういう「記念樹」のようなドラマにすがるしかない。

 

これも運命かもしれないが、良質な人間ドラマに触れつつ、私は私に残された時間を、現代が切り捨てている、人間にとって最も大事なことを回復するために、生きてみたいと思っている。

 

そして、人間回復、人間復興の道筋を、多くの方々に示せたら、と祈願するばかりである。