背中の痛みに耐えているとき、ふと詩想がわいたので、書きとめておこう。

 

蒼と白の祈り

 

小指の先ほどのごく小さい花が
歩道のコンクリートの裂け目から
咲き出ている。

 

真っ蒼な空の蒼をせいいっぱい吸いこみ
空に浮かんだ雲と同じ純白の十字架を抱きしめ
小さな花は黙って空を見つめている。

 

この小さな花の存在を
初めて私に教えてくれた人が
かつては私のすぐそばにいた。

 

その人は私に次の一言だけを残し
私の眼の前から、突然かき消えた。

 

「世界中で、あなたのことを一番愛している」

 

いまここに咲いている花にかわって
澄み渡った空にむかい

しずかに蒼と白の祈りをささげよう。