大手拓次の「藍色の蟇(ひき)」という詩をご紹介。

 

藍色の蟇

 

大手拓次

 

森の宝庫の寝間ねま

藍色の蟇は黄色い息をはいて

陰湿の暗い暖炉のなかにひとつの絵模様をかく。

太陽の隠し子のやうにひよわの少年は

美しい葡萄のやうな眼をもつて、

行くよ、行くよ、いさましげに、

空想の猟人かりうどはやはらかいカンガルウの編靴あみぐつに。