パンくずリスト
  • ホーム
  • 八木重吉

カテゴリー:八木重吉

記事一覧

八木重吉の詩「うつくしいもの」

美しい詩 - 八木重吉

八木重吉の「うつくしいもの」というをご紹介します。

 

うつくしいもの

 

わたしみづからのなかでもいい

わたしの外の せかいでも いい

どこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのか

それが 敵であつても かまわない

及びがたくても よい

ただ 在るといふことが 分りさへすれば、

ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ

 

最近、このブログでは、金子みすゞと、まど・みちおについて書くことが多いのですが、以前は、八木重吉にはまっていたのです。

 

100枚くらいの「八木重吉論」まで書いたくらいに、二十代の頃は、どっぷり八木重吉の世界に浸っていたのでした。

 

今回取り上げています「うつくしいもの」は、「重吉節」と呼びたいくらい、八木重吉らしい詩です。

 

この詩での主張は「美への希求」のみ。通常ですと、ストレートに自分が美をもとめていると書いても、詩にならないか、読者にとって魅力あるものにはなりません。

 

しかし、八木重吉が書くと、思わず、身動きできなくなるほどに、詩の世界に没入してしまいます。

 

なぜか?

続きを読む

八木重吉の詩一覧

美しい詩 - 八木重吉

八木重吉有名な詩、教科書に載っている詩、感動する詩、代表作、人気の高い詩などをまとめて、一覧にしてみました。リンク先で詩と風花未来のレビューが読めます。

 

【動画】八木重吉の詩の魅力について

 

 

八木重吉「雨」

 

八木重吉「母をおもう」

 

八木重吉「虫」

 

八木重吉「素朴な琴」

 

八木重吉「鞠とぶりきの独楽」

 

八木重吉「夕焼」

 

八木重吉の詩「鞠とぶりきの独楽」と高村光太郎の推薦文。

美しい詩 - 八木重吉

八木重吉の未刊詩篇の中にも、捨てがたい詩があります。特に以下の「鞠とぶりきの独楽」は、日本近代詩の貴重な成果であると言いたいくらいの傑作だと私は評価しています。

 

【動画】朗読と感想)八木重吉の詩「鞠とぶりきの独楽」と高村光太郎の推薦文

 

「鞠」は「まり」、「独楽」は「こま」と読みます。回して遊ぶ、あの玩具の「独楽(こま)」です。

 

全文は非常に長いので、特に優れたところをピックアップしてみました。

 

では、「鞠とぶりきの独楽」の一部を引用いたします。

 

 

鞠とぶりきの独楽

 

てくてくと

こどものほうへもどってゆこう

 

こどもがよくて

おとながわるいことは

まりをつけばよくわかる

 

あかんぼが

あん あん

あん あん

ないているのと

 

まりが

ぽく ぽく ぽく ぽくつかれているのと

 

火がもえてるのと

川がながれてるのと

木がはえてるのと

あんまりちがわないとおもうよ

 

ぽくぽくひとりでついていた

 

わたしのまりを

ひょいと

あなたになげたくなるように

ひょいと

あなたがかえしてくれるように

そんなふうになんでもいったらなあ

 

ぽくぽく

ぽくぽく

まりを ついてると

にがい にがい いままでのことが

ぽくぽく

ぽくぽく

むすびめが ほぐされて

花がさいたようにみえてくる

 

かんしんしようったって

なかなか

ゆう焼のうつくしさはわかりきらない

わかったっていいきれない

ぽくぽく

ぽくぽく

まりをついてるとよくわかる

 

まりを

ぽくぽくつくきもちで

ごはんを たべたい

 

ぽく ぽく

ぽく ぽく

まりつきをやるきもちで

あのひとたちにものをいいたい

 

まりと

あかんぼと

どっちも くりくりしてる

つかまえ どこも ないようだ

はじめも おわりも ないようだ

どっちも

ぷくぷく だ

 

いかがでしょうか?

 

「鞠とぶりきの独楽」は彌生書房から出ていた「定本 八木重吉詩集」で、その全文を読むことができます。

 

その「定本 八木重吉詩集」の帯に書かれた高村光太郎の推薦文を引用しましょう。

続きを読む