名作ドラマとして名高い山田太一脚本の「ふぞろいの林檎たち」をご覧になったことはあるでしょうか。

 

私がリアルタイムで見たのは、1997年に放送された第4シリーズでした。

 

1997年のシリーズには長瀬智也と中谷美紀が出ていました。そのキャスティングが新鮮で、最終回まで追いかけた記憶があります。

 

今回見たのは、1985年の第2シリーズ。

 

これは、面白過ぎますね。山田太一脚本のドラマが好きな人にはたまらない世界でしょうね。

 

大した事件も起きないのに、気が付いたら、13話全部を見終っていました。

 

驚いたのは、シリーズ化したドラマは、第1シリーズが最も面白い傾向があるのですが、この第2シリーズは、第1シリーズに劣らず面白いことです。

 

初回の新鮮さは落ちるわけですから、それに代わる魅力がなければ、視聴者はついてきません。

 

山田太一の場合は、この第2シリーズにおいて、奇抜なアイデアとか意外性のあるキャスティングとかに頼らず、真真っ向勝負、人間を掘り下げることに全エネルギーを注ぎ込んだ。そう言いたいくらい、人物造形が鮮明かつ深いのです。

 

山田太一の脚本の特色は、あり得ない会話にあります。日常生活では絶対に使わない会話が平気で続くのですが、これにハマルと、逃れられなくなるのですね。

 

山田太一ドラマの個性、深さは、独自のセリフ回しにあります。会話は山田太一ドラマの生命線なのです。

 

今思うと「白線流し」はこのドラマを下敷きにしている気もします。若い男女の群像劇の草分け的作品だと言えそうです。

 

この「ふぞろいの林檎たち」は「白線流し」ほど泣けませんが、見応えは充分ですので、ドラマ好きな方なら、一度は見ておきたい作品だと思います。