魅力あるドラマ(映画)レビューを書く方法

ドラマレビューの書き方に参考になる本を教えてほしい、とのメールをいただきました。

 

レビューとは、自分が感じたこと、思ったことを書くのであって、基本的に自分の言葉で書かなければなりません。しかし、自分の言葉でレビューできるにようなるには、それなりの練習は必要です。

 

その前に、以下のことを確認してください。

 

1)テレビドラマを見る人がいます。

2)テレビドラマを作る人がいます。

3)テレビドラマについて語る人がいます。

 

当然、ブログでドラマレビューをする人は、3番目の「テレビドラマについて語る人」です。

 

魅力的なドラマレビューを書くためには、ただドラマを観ているだけでは不充分です。ドラマを作る側の視点も必要となります。

 

ですから「シナリオの書き方」に類する本は、読んでおく必要があるのです。

 

その名著と呼ばれるのが、この本です。

 

シナリオの基礎技術

 

私はシナリオライターを目指していたわけではありませんが、たいへん学ぶことが多いので、今でも時々取り出して、読むことがあります。

 

この本を読めば、「そうか、シナリオはこのように書かれ、ドラマはこのように作られるのか」という基本が、理解できるようになります。

 

そういう基礎知識を知らないと、説得力のあるレビューには、なかなかならないものです。

 

ドラマや映画を語る場合、ポイントはたくさんありますよね。

 

例えば、以下のような感じ…

 

●映画監督について

●原作について

●作品のテーマ

●出演する俳優や女優の魅力(存在感・演技力など)

●物語の面白さ(設定・展開)

●主人公のキャラ、登場人物の魅力

●映像の美しさ

●時代設定

●舞台設定

●セリフの魅力

●印象的なシーン

●音楽の素晴らしさ

 

以上のことは、シナリオの基礎技術を繰り返し読むことによって、理解を深められ、次第にレビュー記事の中で自然に語ることができるようになります。

 

また、ドラマ作品の鑑賞のポイントも学べる本はこれです。

 

増補版・「懐かしドラマ」が教えてくれるシナリオの書き方 (オフサイド・ブックス)

 

個別作品が多数出てきますから、具体的な発見があります。

 

ただし、何でもそうですが、知識とか方法論だけを知っているだけでは、人の心は動かせません。

 

まず、作品を豊かに感じることが、大切です。最初に「感動」がなければ、レビューは、続けられるものではありません。

 

自分自身のあふれんばかりの感動を、他人にどうしても伝えたい、その抑えがたい衝動が、レビューを生む原動力であることを忘れないでください。

 

さらには、ドラマや映画の歴史や作品データを知っておくとレビューの説得力を強化できます。手元に「ドラマの歴史」について、すぐに調べられる本を置いておきたいもの。

 

ドラマでしたら、この本くらいは持っておいてほしいですね。

 

テレビドラマベスト・テン10年史 1997‐2006

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ホ・ジノ監督の韓国映画「ハピネス」を見た感想

今回は韓国映画をご紹介。

 

「八月のクリスマス」で有名なホ・ジノ監督の4作目「ハピネス」。

 

映画「ハピネス」はこちらで視聴可能です

 

ホ・ジノ監督が追求するテーマ「死と愛」が、今回も描かれてはいるのですが……1作目「八月のクリスマス」を最初に観た時、そして2作目「春の日は過ぎゆく」を観た時のことが、鮮明に思い出されます。

 

韓国映画はたいしたレベルになってきたなぁ~邦画は危ないのではないか…そんなことを感じました。

 

ホ・ジノ監督は、小津安二郎監督を敬愛しているそうです。

 

「春の日は過ぎゆく」のラストシーンは、小津監督の「麦秋」のラストに似ていると感じたのは私だけでしょうか。

 

それはさておき、ホ・ジノ監督は、映像の詩人だ、それが私の第一印象でした。

 

で、今回鑑賞した「ハピネス」ですが、これまでの作品にある、あふれんばかりの詩情はなかったんですね。

 

あえて抑えたとしたら、愛を美化するのではなく、現実の切なさを描ききるために、ホ・ジノ監督の真骨頂である映像美を封印したとしたら、それはそれで凄いことだと思います。

 

通俗的な意味での「純愛映画」ではありません。

 

永遠の愛を偶像崇拝するのではなく、人生の痛さ、愛のはかなさを、静かに、淡々と描いたところが、この映画に長い命を与えているようです。