映画「学生心中」は、1954年に公開された。
監督は森永健次郎。原作は芥川賞作家の小谷剛の小説である。
2022年の現在、メロドラマという言葉は使われないが、この「学生心中」はメロドラマ以外の何物でもない。それ以上でも、それ以下でもない。
複雑な人間関係が織り込まれているが、文学の香気と言えるものはない。
一つ間違うと安っぽい通俗小説になってしまうところだが、何とか、そこまでの堕落の一歩手前で踏みとどまっている。
最後まで鑑賞できたのだから、それなりの価値はあるのだとは思う。
それにしても、主演の木村功は、やわな二枚目役を演じさせると絵になる。